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本当の理由2

「親が死んじゃう…? どういうこと…?」

突然の言葉に理解が追いつかず、思わず眉をひそめる。

「お父さん、教会の偉い人だったんだ」

スピレアは静かに語り始めた。

「でも…教典に違反することをしちゃって…捕まっちゃったの」

寂しそうに俯きながら続ける。

「スピレアのお父さんが? 一体、何をしたんだ?」

これまで一緒に旅をしてきたスピレアを見てきた。

こんな優しい子を育てた両親が、教典に背くような人だとはどうしても思えなかった。

「…驚かないでね」

スピレアは覚悟を決めたように、まっすぐこちらを見つめる。

「うん。大丈夫」

小さく息をのみ、彼女の次の言葉を待った。

スピレアはゆっくりと目を閉じる。

そして再び開いた時

右目だけが、鮮やかな赤色へと変わっていた。

「えっ…その瞳…」

思考が追いつかない。

やっとの思いで、それだけを口にした。

「あのね…私のお母さん、アインシュ族なの」

儚く壊れてしまいそうな笑みを浮かべながら、スピレアは打ち明ける。

「だから、右の瞳だけ赤いの」

「…そうだったんだ」

ようやく瞳の理由は分かった。

けれど、それだけでは両親が捕まった理由にはならない。

「それで…どうして親が捕まったんだ?」

少し気まずさを覚えながらも尋ねる。

「えっ…?」

スピレアは目を丸くした。

予想外の質問だったのだろう。

「えっと…アインシュ族と繋がりがあるってことで、お父さんもお母さんも捕まっちゃったの」

そう言って、小さく俯く。

「でもね」

再び顔を上げる。

「魔王を封印できれば、お父さんたちにアインシュ族との繋がりはないって証明できるって、司祭様が教えてくれたの」

その瞳には、迷いはなかった。

「だから…私は旅から逃げちゃ駄目なの」

ようやく分かった。

スピレアは世界を救うためだけに旅をしているんじゃない。

家族を助けるために、逃げたくても逃げられないんだ。

「…だったら」

笑って答えた。

「最後まで付き合うよ」

「えっ…それだけ?」

スピレアが、きょとんと目を丸くする。

「それだけって?」

「その…アインシュ族とのハーフだったことを黙ってた、とか…騙された、とか思わないの?」

おずおずと、不安そうに尋ねてくる。

「アインシュ族?ハーフ?騙された?」

首を傾げた。

「スピレアはスピレアだろ?何も騙してないじゃん」

その一言に、スピレアは言葉を失う。

「…そうだけど」

眉を寄せ、小さく呟く。

そして困ったように笑った。

「まぁ…アスターだしね」

呆れたようにため息をつく。

でも、その表情はどこか嬉しそうだった。

その時

ガサッ。

背後の茂みが大きく揺れた。

「誰だ!?」

咄嗟に立ち上がり、スピレアを背中へかばう。

茂みの奥から現れたのは、フランネルだった。

目は真っ赤に充血し、頬には涙の跡が残っている。

「今日のところは…引いてあげるわ!」

涙をハンカチで拭いながら、フランネルは叫ぶ。

「また来るからね!」

そう言い残すと、暗闇の中へ駆け去っていった。

「…何だったんだろうね?」

スピレアが首を傾げる。

「さあ?」

同じく首を傾げることしかできなかった。

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