ロッジ
船が港へ近づくにつれ、白い漆喰の壁と赤褐色の屋根が幾重にも連なる街並みが姿を現した。
海辺から緩やかな坂道が丘へと続く。
その両脇には石造りと木造が調和した建物が肩を寄せ合うように並んでいる。
軒先には色とりどりの花籠が揺れている。
街の中心には高い鐘塔がそびえ立つ。
その塔の鐘の音が時刻を教えてくれる。
細い石畳の路地は迷路のように入り組み、階段を上るたびに海を見下ろせる小さな広場が姿を現す。
そんな街、ハラリトに到着した。
「こっちも駄目みたい…」
「同じく駄目だったわ…」
「こっちも空いていなかった…」
「すまない。空いている宿を見つけきれなかった…」
一行は手分けして宿を探し回り、ローレルが休んでいる場所へ再び集まった。
しかし、結果は全滅。
誰も空いている宿を見つけることができず、重苦しい空気が流れる。
諦めかけた、その時だった。
最後に探しに行っていたリリーが、小走りで戻ってきた。
『ロッジで良かったら二棟見つけたよ』
嬉しそうな表情で、そう書かれた紙を皆に見せる。
その報告を聞いた瞬間、一同の表情がぱっと明るくなった。
どうやら、ロッジではバーベキューが出来るらしい。
一行はリリーの案内でロッジへ向かった。
途中、市場へ立ち寄り、海産物や野菜、それに酒などを買い込んでいく。
白い砂浜は、陽光を受けて銀色にきらめき、穏やかな波が何度も静かに打ち寄せていた。
浜辺には、流木や白い石を組み合わせて建てられた木造のロッジが点々と並んでいた。
それぞれの屋根には潮風に強い青い瓦が葺かれている。
窓辺には色鮮やかな花々が咲き、木製のテラスからはどこまでも続く蒼い海を見渡すことができた。
ロッジの背後には、背の高い椰子の木や南国の草花が生い茂っている。
その向こうにはハラリトの港町が緩やかな丘を覆うように広がっている。
そんな場所だった。
「おおー! すごい眺めだ!」
水平線へと沈みゆく夕日が、海を黄金色から茜色へと染め上げていく。
あまりの美しさに、思わず声が弾んだ。
「日があるうちに夕食の準備をしちゃうわよ」
景色に見入っていた俺たちへ向けて、グラッドがパンと手を叩きながら声を掛ける。
「ローレル、火をつけてくれないかしら?」
「あーしのこと、便利グッズだと思ってない?」
「ルドベック、これも切ってー」
「分かった。不審者、切った食材の串打ちをしろ」
「はいはい。…なんか当たり強くないか?」
「これは、どこに置けばいいのだ…?」
包丁の音と笑い声や怒声などが夕暮れの浜辺に響いていく。
野菜を切る者、串打ちをする者、火を起こす者。
賑やかなやり取りを交わしながら夕食の準備は進んで行った。




