魔法適性診断へ
「さてと。何も分からないんだったらさ、魔法適性だけでも見てみない?」
ルドベックを見送ったスピレアが、くるりと振り返って提案してきた。
魔法適性?
現実世界では、中二病患者くらいしか口にしないような言葉だ。
だが、その響きを聞いただけで胸が高鳴る。
いい。
実にいい。
「魔法適性!? 見たい見たい!」
初めてゲームを買ってもらった子どものように、思わず目を輝かせる。
この世界に来てから、一番心が躍った瞬間だった。
「ふふっ。じゃあ、行こうか」
スピレアは嬉しそうに笑うと、教会を指さした。
どうやら、魔法適性は教会で調べられるらしい。
「よーし!」
意気揚々と教会へ向かう。
「またあとでー。ふわぁ…」
ローレルが大きなあくびをしながら、気だるそうに手を振る。
そのまま帰ろうとしたローレルの腕を、スピレアががしっと掴んだ。
「ローレルも、グラッドさんも一緒だよ」
にこりと笑いながら、有無を言わせぬ口調で告げる。
「えー。あーしはいいよ。面倒だし」
ローレルは露骨に嫌そうな顔をした。
「だーめ。一緒に行くの」
スピレアも負けじと頬を膨らませる。
「はぁ……。わーった、わーったよ」
観念したようにローレルが肩を落とした。
「こうなったら聞かないんだから」
そんな諦めがにじむ声だった。
「うん! じゃあ行こう!」
満足そうに笑ったスピレアは、ローレルの腕を引っ張って教会へ向かう。
「ほら、アスターちゃんも、ぼーっとしてないで。置いていかれちゃうわよ」
二人の後ろを歩いていたグラッドが振り返り、苦笑しながら声をかけてきた。
仲のいい三人のやり取りを微笑ましく眺めていたせいで、危うく本当に置いていかれるところだった。
魔法適性を調べる絶好の機会を逃すわけにはいかない。
慌てて三人の後を追いかけた。




