参戦
戦場は、想像をはるかに超える激しさだった。
轟音とともに、魔物が片腕を大きく振り抜く。
次の瞬間、その腕が肩口から砕け散り、無数の岩塊となって剣士の女性へ襲いかかった。
岩の雨が一直線に迫る。
だが、その進路を遮るように、大地が激しくうねった。
地面を突き破り、巨大な木の根が何本も生え出る。
根は盾のように岩塊を受け止め、砕け散った破片が広場へ激しく降り注いだ。
さらに、木の根はうねりながら空中へ伸び、剣士の足元へ滑り込む。
剣士はその根を軽く蹴る。
一歩、二歩、三歩。
まるで空中に見えない足場でもあるかのように次々と飛び移り、縦横無尽に戦場を駆け抜ける。
その身のこなしは、忍者を思わせるほど軽やかで、一瞬たりとも視線で追い切れない。
魔物が振るう岩の暴力と、木の根による援護を受けた華麗な剣技。
二つの力が真正面からぶつかり合い、広場は激しい衝撃に包まれていた。
「加勢すると言っても…どうするんだ?」
目の前で繰り広げられる激戦に思わず顔が引きつる。
正直、あの動きについていける気がしない。
「男は度胸! こうするのよ!」
グラッドは満面の笑みを浮かべると、次の瞬間には地面を力強く蹴っていた。
一直線。
迷いなく魔物へ突っ込んでいく。
「習うより慣れろだ」
少し遅れてルドベックも剣を構え、その背中を追う。
「ビビってんの?」
ローレルがくるりとこちらを振り返る。
「ダサすぎてウケるんですけど」
口元を押さえながら笑い、挑発するように指を差す。
そのまま後ろ向きに軽やかに跳び、戦場へ飛び込んでいった。
カチン。
頭に血が上る。
「上等だ! やってやんよ!」
腰の剣を勢いよく引き抜き、地面を蹴った。
遅れを取り戻すように、仲間たちの背中を追って戦場へ駆け出す。




