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出発

「それじゃあ、気を取り直して出発するわよ。」

グラッドがこちらとスピレアを交互に見ながら号令をかける。

しかし、スピレアの怒りはまだ収まっていないようだった。

アグニスを出てしばらくの間、一同は無言で歩き続ける。

重苦しい空気に耐えられなくなったのか、ローレルがそっと隣へやって来た。

「…アスちゃんさ、何したわけ?」

小声で耳打ちしてくる。

「何もしてないよ。俺は無罪だ。」

首を横に振って否定する。

「アスターは何もしてないよ。『ただの』記念品のキーホルダーを渡しただけだよ。」

どうやら聞こえていたらしい。

スピレアが割って入り、「ただの」の部分だけをやけに強調した。

「…あーね。」

ローレルは数秒黙り込んだあと、納得したように何度か頷く。

「アスちゃん、有罪。」

判決が下った。

「なぜだ?」

理不尽な判決に思わず首を傾げる。

「とりあえず謝っときなって。この問題、アスちゃんには難しすぎるからさ。」

ローレルは大きくため息をつくと、こちらの背中を押してスピレアの前まで連れて行く。

「スピレア。その…昨日は、ごめん。」

言われるがまま頭を下げる。

スピレアは何も言わず、ちらりとこちらを見るだけだった。

「スピちゃんもさぁ。相手はアスちゃんだよ?」

ローレルが苦笑する。

「乙女心を理解するどころか、人の心を持ってるかも怪しいんだからさぁ。」

なぜ慰めるために貶す必要がある。

「それにさ。」

ローレルは意味ありげに笑った。

「スピちゃん的にも、都合がいい部分はあるんじゃない?」

その言葉を聞いた瞬間、スピレアの顔がみるみる赤く染まる。

「んじゃ、ここから先は男子立ち入り禁止だからー。」

ローレルはスピレアの肩に腕を回し、ひらひらと手を振る。

「グラちゃんも一緒に行こ。」

そう言い残すと、二人はグラッドと共に少し離れた場所へ歩いて行ってしまった。

なぜ、グラッドは女判定なんだ?

ここまで読んでくださりありがとうございます。


8月2日より作品ページのあらすじを変更しました。


以前のあらすじでは、物語の雰囲気や世界観を十分に伝えきれていないと感じていたため、改めて「この作品はどんな物語なのか」を意識して書き直しました。


これからもアスター達の旅をよろしくお願いします。

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