乱入(グラッド視点)
ドーンッ!
唐突に響いた爆発音。
人々の悲鳴。
そして、精霊教会の屋根に立つ巨大な獣の姿。
アタシは、その瞬間に魔獣が現れたのだと悟ったわ。
人混みをかき分けながら、すぐさま精霊教会へ駆けつけた。
そこには、アスターちゃんとカルタムちゃんの姿があった。
二人は何かを話している。
その直後、カルタムちゃんの足元で爆炎が弾けた。
爆発の反動を利用して、一気に魔獣へ飛びかかっていく。
視線が自然と胸元へ向いた。
ネックレスには、赤い宝石が一つ輝いている。
胸がざわつく。
まさか…。
御業を使って、一人で戦うつもりじゃないでしょうね?
嫌な予感が全身を駆け巡る。
アタシは慌ててアスターちゃんの元へ駆け寄った。
「アスターちゃん? どういう状況かしら?」
「グラッド! 実は、魔獣が現れて、カルタムが一人で突っ込んで…」
アスターちゃんの説明を遮る。
「アスターちゃん。それを止めなかったの?」
もちろん、止めないような子じゃないことくらい分かっているわ。
でも、行き場のない焦りが、そんな言葉を口にさせたの。
「止めたさ。でも、昔助けてもらった精霊術師を超えるんだって聞かなくて…」
アスターちゃんが申し訳なさそうに呟く。
まるで親に叱られている子どもみたい。
昔助けてもらった精霊術師…?
まさか、あの子のことかしら。
思い当たる節はある。
だけど、今はそれどころじゃない。
「それに、御業もあるから大丈夫だって…」
その一言で、アタシの表情が強張る。
「グラッド…?」
アスターちゃんが、不安そうにアタシの顔を見つめていた。
そんな顔をさせちゃ駄目よね。
アタシは小さく首を振り、無理やり笑顔を作る。
「カルタムちゃんにも因縁があるみたいだけど、アタシにも、あの魔獣には忘れられない因縁があるの。」
足に力を込める。
「アスターちゃんには悪いけど…ここから先は、アタシとカルタムちゃんのデュエットよ。」
地面を蹴り、一気にカルタムちゃんの隣へ躍り出る。
「カルタムちゃん。アタシも、あの魔獣には思うところがあるの。どうせなら、一人で躍るより二人の方が楽しいでしょう?」
そう言って、魔獣へ向けて拳を構えた。




