牢屋と思考
「日本が滅んだ?2000年前?意味がわからない。」
再度、一人ぼっちになってしまった牢屋の中でそう呟く。
日本が滅ぶなんてあり得る話ではない。それに滅んだ原因が天変地異と言うではないか。
そんな天変地異に遭遇した記憶はないはずである。
昨日以前の記憶を思い出そうとするが不思議と出てこない。
「痛っ!!」
思い出そうとするとイノシシの化け物に襲われる前、自分の顔を思い出そうとした時の痛みが頭に走る。
その鋭い痛みに思わず声を上げる。
「なんなんだよ。」
理解しようとしても理解できない。
思い出そうとしても思い出せない。
そんな無力感に絶望しボソリと呟いた。
「ああ、そうか。まだ夢が続いているんだ。」
受け入れたくない現実を目の前に逃避行動に走る。
「夢ならば痛くないはず!!」
そう自分に言い聞かせると、木の格子へ思いっきり頭突きをする。
「〜っ!!」
ゴンという鈍い音とともに痛みが額に走る。
あまりの痛みに拘束された両手で額を押さえうずくまる。
やはり、夢ではなく現実のようだ。
「痛い。…血?ふふっやっぱ現実か。」
痛みがある程度落ち着いたら独り言を述べ、脱力したかのようにゆっくりと上半身を起こした。
ポタポタっと目の前に血の雫が垂れる。
自分の血すらもこれは現実だ。諦めろと諭しているような気がする。
思わず笑いが出る。
その後は、しばらく木の格子にもたれてボーッと時間を潰した。




