ネイル
「まじ萎えるー。はぁ…最悪だし。」
戦闘が終わり、全員でローレルのネイルを探したものの、結局見つからなかった。
諦めてアグニスへ向かうことになったが、ローレルは歩きながらずっと肩を落としている。
「土行が使えなくなるからか?」
「違うし。」
ローレルは呆れたようにため息をつき、両手を突き出した。
「ほら。左右それぞれ五行の魔石ネイルやってっし。」
親指以外のネイルは左右で色が違う。
何か規則でもあるのだろうか。
そんなことを考えながら、俺は率直な疑問を口にした。
「予備があるなら別にいいだろ。」
「はぁ?」
ローレルの眉がぴくりと動く。
「アスちゃん、マジ?ないわー。マジないわー。」
どうやら地雷を踏み抜いたらしい。
しかし、怒り方がギャルなのは安心する。
「じゃあ何が問題なんだよ。」
少し面倒になり、ぶっきらぼうに返す。
「はぁ!?助けられといてその態度?マジムカつくんですけど!」
さらに火に油を注いでしまった。
「まあまあ、アスターだし、ね?そういうの分からないよ。」
スピレアが苦笑しながら二人の間に入る。
最近、扱いが雑になっている気がする…
「まあ、そうだよね。」
ローレルは大きくため息をつく。
「アスちゃんに期待したあーしがどうかしてた。べー。」
あっかんべーをして、ぷいっとそっぽを向いた。
「ローレル、お気に入りのネイルをなくしちゃってショックなんだよね?頑張ってデコったやつだったの?」
「スピちゃん…」
ローレルはぱっと表情を明るくすると、そのままスピレアへ抱きつく。
「あーしの友達、スピちゃんしかいないよ。あのクソ分からず屋にも、察する力分けてあげてよ。」
スピレアは苦笑しながらローレルの頭を優しく撫でた。
それにしても、クソとは何だ!
このギャル、口が悪い。
「アスターも、女の子にはもう少し気を遣ってあげてね。」
「そうよ。アスターちゃんは、もう少し乙女心を理解すべきよ。」
いつの間にか隣にいたグラッドまで深く頷いている。
「じゃあ、魔法や剣術みたいに理解する方法を教えてくれよ。」
「そういうところ。」
「そーいうとこ。」
「そういうところなのよ。」
三人の声がぴたりと重なる。
どうやら、乙女心を理解できる日はまだまだ遠そうだ。
誰か『乙女心徹底解説の書』でも持っていないものか。




