再会敵
お昼を済ませ、旅を再開した。
「だいたいさ、ルドベックはすぐ怒りすぎじゃないか?」
「そうだね。でも、剣の名前はアスターも悪いよ。それに、ルドベックはアスターに期待しているんだと思うの。」
スピレアがくすっと笑いながら答える。
うん?
今、さらっと命名センスを貶されなかったか?
少し傷ついたが、それより気になった。
「期待?」
ルドベックの仕打ちは、期待している相手に向けるものとは到底思えなかった。
「うーん…?アスターへの期待が大きいから、応えられなかったときにがっかりして怒っちゃうんじゃないって、私は思うの」
少し考えてから、自分なりの答えを口にする。
「それに、ルドベックは私のお兄ちゃんみたいな存在だから、あんまり悪く言わないでね。」
スピレアはいたずらっぽく笑って言った。
「二人の関係も考えずに悪かった。」
「ううん。いいの。ルドベックも悪いところ、多いから。」
スピレアははにかんだ笑顔を見せた。
「ちょっと止まってくれるかしら? あれを見て。」
不意にグラッドが足を止め、前方を指差した。
その先には、バンドマン風の男…
ナルシサスがいた。
しかし、様子がおかしい。
誰もいないはずなのに、嬉しそうに誰かと話している雰囲気である。
グラッドと目を合わせ、小さく頷き合う。
気配を殺しながら、ゆっくりと距離を詰めた。
「うん、うん。心配性なんだから、フランちゃんは。…ごめんよ。フランちゃん。」
独り言にしては、妙に会話が成立している。
それに、耳へ当てているあれは…何だ?
目を凝らして見つめていると、ナルシサスがこちらに気付いた。
「うん? …やっと来たみたいだから切るね。愛しているよ、フランちゃん。」
そう言って振り返ると、手に持っていた物をズボンのポケットへしまう。
あれは、ガラケーだ!
ガラケーが、どうしてこの世界にある?
もしかして、ガラケー…お前も転移してきたのか?
思考がガラケー一色になっていると、ナルシサスがこちらを見て口を開いた。
「精霊術師って誰かな?それ以外には興味ないから、帰ってくれる?」




