集結理由
「ご飯でも食べながら、その話はしましょうか。アタシも気になるわ」
ルドベックが語ろうとした時だった。
パンパンッと手を叩く音が響く。
グラッドが話に割り込んできた。
「スピレアー。ローレルー。ご飯にするわよ」
そう言って、二人へ集合をかける。
「はーい」
「あーい」
少し離れた場所で女子会を開いていた二人が、小走りで戻ってくる。
さあ、夕食の時間だ。
グラッドの料理は、やはり美味しい。
肉なんて、ただ焼いただけのはずなのに。
程よい塩味。
煙で燻されたような香ばしい風味。
それだけで、格別な味になっている。
料理に夢中になっていると、グラッドが口を開いた。
「ところで、ルドベックちゃんはどうやってスピレアの旅のことを知ったのかしら?」
そんな話題もあったな。
完全に忘れていた。
「ローレルに知らされたんだ」
ルドベックは、あっさりと答える。
「アタシも、ローレルによ」
グラッドは眉間にしわを寄せ、ゆっくりと言った。
そして、視線をローレルへ向ける。
「あれ? グラちゃんには言ってなかったっけ?」
ローレルは首を傾げる。
「あーし、スピちゃんと文通してたんだよ。んで、知ったの」
軽い口調で続ける。
「それで、ルドちゃんとグラちゃんに声をかけたのは、スピちゃんの手紙に頼りになる人として嫌になるくらい登場してたからでー」
ローレルは楽しそうに笑う。
「ほら、スピちゃんって一人で突っ走っちゃう危ない子でしょ? だから、二人が必要かなって思ったんだよ」
そして、少しだけ不満そうに頬を膨らませた。
「そんな、あーしを疑わないでよ」
「ごめんなさい。そういうつもりではなかったの」
グラッドはすぐに謝る。
「あの時、確認しなかったアタシが悪かったわね」
そう言って引き下がった。
しかし、何となく分かる。
グラッドとローレルの間に、少しだけ嫌な空気が流れている。
その空気を変えるため、俺はルドベックへ話題を振った。
「ルドベックは、どうして旅に同行することにしたんだ?」
想像はついている。
それでも確認したかった。
「ああ。まだ騎士団にいた頃、ローレルという怪しい奴に出会った――」
「ストーップ!」
思わず止めた。
長話は好まない。
「貴様は聞きたいのか聞きたくないのか、はっきりしろ!」
ルドベックに睨まれる。
「手短にお願いします」
正直に伝えた。
「…はぁ。ローレルがほとんど話しただろ」
ルドベックは呆れたように息を吐く。
「ローレルが手紙を持って現れ、スピレアの旅を知った。それだけだ」
「それだけ?」
「そして、スピレアを守るために同行することにした」
面倒な相手をするような口調で、ルドベックは答えた。
想像通りの内容だった。
「つまらない」
おっと、心の声が漏れたようだ。
「貴様、人に尋ねておいて何だその言い草は!」
ルドベックが怒り始める。
「まあまあ」
スピレアが慌てて宥めに入る。
「じゃあ、グラッドが同行する理由は?」
こっちが本命だ。
ルドベックなんかに構っている暇はない。
「貴様、無視するな!」
当然、無視だ。
「私もグラッドが一緒に来てくれる理由、聞きたいから。ね?」
スピレアが怒れるルドベックをなだめながら、グラッドへ話を振る。
「そうね…アタシは…」
グラッドは焚き火を見つめた。
少しだけ考える時間を置く。
そして、ローレルとスピレアを交互に見る。
「ふぅ…理由は単純よ」
グラッドは静かに息を吐いた。
「スピレアってば、昔から一人で抱え込んじゃう子だったの」
「今回の旅でも、どうせ全部一人で背負おうとするわ」
「だから…」
グラッドは優しく笑った。
「アタシも一緒に抱えてあげるために、同行することにしたの」
そこには、いつものグラッドがいた。




