二人の関係性
「なに? アスちゃん、あーしらの関係気になっちゃう感じ?」
ローレルが、座っているスピレアの背後から抱きついて、ニヤニヤしながら言う。
「私達は、友達だよ」
スピレアが、すぐに答えを教えてくれた。
面倒な焦らしに付き合わず、すんなり答えにたどり着けて助かる。
「スピちゃん、真面目過ぎー。こっからが良いところだったじゃん」
「言っちゃダメだった? ごめんね」
ローレルが不満そうに口を尖らせる。
そんなローレルに、スピレアは困ったような、それでいて嬉しそうな顔を向けて謝っていた。
二人は本当に仲がいいんだな。
微笑ましく思ったが、同時に疑問も浮かぶ。
正反対っぽい二人が、なぜつるんでいる?
「どういう付き合い?」
不思議に思い、単刀直入に尋ねる。
「どういうって? 学生時代からの付き合いで、学校を辞めちゃったあとも、文通して今って感じかな?」
「だーかーらー。すぐに言っちゃダメなんだって」
スピレアが手短に説明し、ローレルが不満を漏らす。
ローレルが語り手だったらと思うとゾッとする。
それにしても、ローレルが学校を辞めたあとも文通をしてあげるなんて、スピレアは本当に優しいんだな。
ローレルらしい過去と、スピレアの優しさにほっこりした。
「スピレアは、昔から優しいんだね」
心温まるエピソードに満足し、頷きながら言った。
「なんで私?」
スピレアが、きょとんと不思議そうな顔をする。
「だって、ローレルが退学後も文通してあげてたんだろ?」
何を不思議に思うことがあるのだろう。
そう思いながら、理由を口にする。
「あぁ。違うよ。私が退学になった後も、ローレルが文通を続けてくれてたんだよ」
納得したような顔で、スピレアが答える。
でも、何か違和感を感じる。
「ローレルが退学になった後も、スピレアが文通を通じて交流を続けていたんだろ?」
違和感の正体が分からず、確認する。
「アスちゃん、あーしのことなんだと思っているわけ? ムカつくんですけど」
ローレルがジトーっと睨んでくる。
睨まれる筋合いはないはずなんだが、なぜだ?
「ふふふ。だから、退学になったのは私。文通してくれていたのはローレル。分かった?」
スピレアが笑った後、理解しやすいように言葉を区切って説明してくれた。
退学になったのは私?
ローレルじゃなくて?
違和感の正体に気がついた。
「えええええ! ローレルじゃなくてスピレアが退学に?!」
意外すぎる過去に、思わず驚きの声を上げる。
「ひどくなーい? これでも、あーし優秀だったんだからね。まぁ、その後、退学になったけど……」
ローレルが恨みのこもった瞳をこちらへ向けてくる。
「やっぱり、退学になってんじゃん」
ローレルの退学という事実に安心して、思わず心の声が漏れた。
「あっ」
口を押さえる。
しかし、もう遅かった。
怒りでわなわなと震えるローレルが立ち上がる。
「アスちゃん? ちょっと、こっちに来てくれる?」
満面の笑顔をこちらへ向け、ゆらゆらと一歩ずつ近づいてくる。
…これ、ついて行ったらヤバいやつだ。
目が笑っていない。
「何? 二人だけの秘密話? 私も混ぜてよ」
スピレアが目を輝かせて言ってくる。
是非とも付いてきてほしいものだ。
そう願いながら、逃げ出そうと立ち上がる。
しかし、遅かった。
首根っこを押さえられた。
「スピちゃんは、ちょっとお留守番しててね。あーしは、アスちゃんとちょっとお話してくるから」
そう言い残し、ローレルに引きずられて、人目につかない場所へ拉致された。




