休憩
二時間ほど山道を歩いた頃。
少し開けた場所に出たところで、ローレルが大きく息を吐いた。
「ねー。ちょっと休もーよ。あーし、疲れたー」
駄々をこねる子どものような口調で言いながら、その場に座り込む。
「まだ村を出てから、そう時間は経っていないだろう」
ルドベックが呆れたように返す。
「まぁまぁ。私もちょっと疲れちゃったし、休憩にしない?」
スピレアが二人の間に入り、提案する。
良いバランスのパーティだ。
きっと、この後は…
「スピレアが言うなら休憩にしよう」
「スピレアが言うなら休憩にしよう」
ルドベックと声が重なった。
…やってしまった。
思ったことが、そのまま口から出ていた。
恐る恐る横を見ると、ルドベックがこちらを睨んでいる。
「不審者。どうやら、貴様とは妙なところで気が合うようだな」
額に青筋を浮かべ満面の笑みで、こちらへ歩いてくる。
「そ、そうだな。俺もそう思う」
距離を詰められた分だけ後ろへ下がりながら、引きつった笑みを浮かべる。
「はっはっは」
「ははは……」
ルドベックの明らかに作った笑い声と、俺の誤魔化しの笑い声が重なる。
…本当に気が合うのかもしれないな。
「なになに? アスターとルドベック、いつの間にそんな仲良くなったの?」
スピレアが嬉しそうに会話へ入ってくる。
…これが仲良く見えるのか?
正気か?
「ちょうど良い時間だし、おやつ休憩にしましょうか」
その時、グラッドが丸い焼き菓子を広げながら言った。
助かった。
逃げる口実ができた。
この瞬間のグラッドは、まるで女神のように見えた。
…いや、気のせいだった。
「おやつ? 食べたい食べたい!」
反射的に叫び、脱兎のごとくルドベックの横を通り抜ける。
そして、そのままグラッドの側へ避難した。
「はぁ…」
背後から、ルドベックの呆れたため息が聞こえる。
しばらくして、ルドベックも諦めたようにおやつの輪へ加わった。
そして、ふと思い出したように口を開く。
「そういえば聞きそびれていたが、スピレアとローレルはどういう関係なんだ?」




