三人の関係性
「私とグラッドさん、ルドベックは幼なじみ。ローレルは学生時代からの友達だよ」
スピレアが簡単に説明してくれる。
「じゃあ、グラッドとルドベックの小さい頃も知ってるんだ?」
他人の子どもの頃の話ほど面白いものはない。
思わず口元が緩む。
隣を見ると、ローレルも同じように前のめりになっていた。
考えることは同じらしい。
「えっと…どうって言われても。ルドベックは、『俺がスピレアを守るんだー』ってよく言っていたから、今とあまり変わらないかな?」
二人の勢いに押されながら、スピレアが少し困ったように答える。
「やめろ、スピレア!」
ルドベックが慌てて止めに入る。
何を慌てる必要がある?
想像通りではないか。
どうやら、ルドベックごときでは面白い話は期待できなさそうだ。
少し残念に思いながら、ローレルと一緒に座り直す。
「…あっ。でも、グラッドさんは昔、無口だったよ」
その瞬間、スピレアが、とんでもない爆弾を投下した。
「…え?」
思わずルドベックを見る。
すると、ルドベックは真面目な顔で頷いた。
無口?
グラッドが?
今の、あのグラッドが?
頭の中で想像してみる。
…無理だ。
しかし、だからこそ気になる。
「その話、詳しく聞きたい!」
そう思った瞬間だった。
ちょうど良いタイミングで、グラッドが戻ってきた。
「グラッドが無口だったって本当か?」
単刀直入に尋ねる。
「あらぁ。昔のアタシは、確かに無口とか寡黙って言われるような男だったわよ」
グラッドは懐かしそうに笑う。
「何? アスターちゃん、アタシのことが気になるの?」
そう言いながら、ニヤリと笑って顔を近づけてくる。
距離が近い。
怖い。
「でもね、アスターちゃん。花も恥じらう乙女の秘密を暴こうなんて、野暮ってものよ」
花も恥じらう乙女?
誰が?
反射的に身体が震える。
そして、口が勝手に動いた。
「花柄ズボンのオカマが何を言う」
言った瞬間、ハッとする。
慌てて口を押さえる。
しまった。
言ってしまった。
「ふっ」
しかし、グラッドは怒るどころか、小さく笑った。
「アスターちゃんも、だいぶ馴染んできたのね」
その言葉には、どこか嬉しそうな響きがあった。
「スピレア、ローレル。食事の配膳を手伝ってちょうだい」
「はーい」
スピレアは素直に返事をして立ち上がる。
「えー、なんで。あーしも?」
ローレルは不満そうに声を漏らす。
しかし、スピレアに促されると、渋々立ち上がった。
三人は、そのまま厨房へ消えていった。




