グラッド宅へ
ルドベックの説明は、案の定長かった。
いや、正確にはルドベックだけのせいではない。
ローレルとグラッド。
この二人が原因でもあった。
真面目に旅の説明をするルドベック。
途中で寄り道を提案するローレル。
面白そうだからと乗っかるグラッド。
そして、たまにローレル側へ流されるスピレア。
その度に激怒するルドベック。
それをなだめるスピレア。
そんな会話を繰り返していた。
…いや。
会話は続いていたが、説明は全然進んでいなかった。
結局、俺が理解できたことは
・今いる場所は、長崎と佐賀の間くらいの位置にあること。
・この世界には五柱の精霊が存在していること。
・それぞれの精霊を巡る旅になること。
・最初の目的地は、熊本方面にあるアグニスという街であること。
・最終的には京都を目指すこと。
これくらいだった。
それだけの説明で、気がつけば、太陽は空の頂点まで昇っていた。
ぐぅ~。
腹の虫が鳴く。
「あら? もうこんな時間? そろそろお昼にしましょうか」
グラッドがこちらを見て提案する。
どうやら腹の音を聞かれていたらしい。
「さんせー。あーしもお腹空いたし。正直、この長話ちょっと飽きちゃった」
ローレルがすぐに手を挙げる。
「誰のせいで話が進まなかったと思っている!」
当然のようにルドベックが怒鳴る。
「まぁまぁ。私もお腹空いちゃったし、お昼にしようよ」
スピレアが苦笑しながらルドベックをなだめる。
この光景も、すっかり見慣れてきた気がする。
「じゃあ、アタシの家に行きましょうか」
パンッと手を叩き、グラッドが場を締める。
「グラッドの家?」
少し驚いた。
ここに住んでいたのか。
しかし、すぐに別の想像が頭をよぎる。
きっと、内装も外装もショッキングピンク。
いたるところに花柄。
そして、謎の乙女グッズで埋め尽くされた家。
…そんな家に違いない。
完全に偏見だった。
「なになに? グラちゃんの家? あーしも行ってみたい!」
ローレルが目を輝かせて楽しそうに笑う。
きっと、こいつも似たような想像をしているに違いない。
「でも、期待しないでね。アタシの家、結構簡素だから」
まるでこちらの考えを読んだように、グラッドが釘を刺す。
そして、いたずらっぽくウインクをすると、教会へ背を向けて歩き出した。
どうやら案内してくれるらしい。
その背中を追いかけた。




