出発?
教会の前にある広場には、すでに三人の人影があった。
「おはよう。アスターちゃん。身体の具合はどう?」
教会を出ると、すぐにグラッドが声をかけてくる。
「おはよう、グラッド。身体は…大丈夫だよ。ありがとう」
言われた通り、首を回し、肩を動かす。
軽く屈伸もしてみたが、痛みは残っていなかった。
気にかけてくれていたことが嬉しくて、素直に礼を言う。
「あら? アタシよりスピレアに言いなさいよ。スピレアったら『アスターが死んじゃう!!』って大慌てだったんだから」
グラッドが、にやりと怪しい笑みを浮かべる。
そして、スピレアの真似を始めた。
…全く似ていない。
というより、少し悪意を感じる。
「グラッドさん!! そこまで言ってないでしょ!!」
スピレアが顔を真っ赤にして抗議する。
そのやり取りを見ていると、ふと視線を感じた。
ルドベックだった。
何か言いたそうな顔で、こちらを見ている。
…お前は乙女か。
言いたいことがあるなら、はっきり言えばいいのに。
そう思いながらも、何を伝えたいのかは分かった。
「ルドベック。この剣、ありがとう。大切に使わせてもらうよ」
腰に差した剣を抜き、見せながら礼を言う。
「ふんっ」
ルドベックは安心したような表情を浮かべると、腕を組んでそっぽを向いた。
…お礼くらい素直に受け取ればいいのに。
素直じゃないやつだ。
少し面倒な性格をしている。
「おはよー… うへぇ、みんな早くない?」
そんな時だった。
教会の扉が開き、いかにも今起きましたと言いたげなローレルが姿を現した。
「ローレル、おはよう」
スピレアは嬉しそうに手を振る。
「あら? ローレル、ちゃんと朝起きられたのね?」
グラッドが驚いたように目を丸くする。
「遅いぞ、ローレル」
ルドベックは相変わらず不機嫌そうだ。
これで全員揃った。
いよいよ旅の始まりだ。
胸が高鳴る。
個性的な仲間たちとの旅。
きっと、楽しいものになる。
そう期待していた時だった。
ふと、ある疑問が浮かぶ。
「…ところで、どこへ行くんだ?」
そういえば。
最終目的地以外、何も聞いていない。
「ぷっ。何それー。ウケるー」
ローレルが腹を抱えて笑い始める。
「あら? 言ってなかったかしら?」
グラッドは首を傾げる。
「ごめんね。伝え忘れてた」
スピレアが申し訳なさそうに謝る。
「不審者。貴様、そんなことも知らずについてきたのか」
ルドベックがため息交じりに呆れたように言う。
「私たちがどういう道順で進むのか、詳しく説明してやる。こちらへ来い」
…旅路の説明がルドベックか。
絶対に長いやつだ。
ものすごく気が重い。
でも、聞かなければ前には進めない。
覚悟を決め、渋々ルドベックの説明を聞くことにした。




