ルドベックの過去1(ルドベック視点)
「ルドベックお兄ちゃん」
幼い頃のスピレアは、いつも私の後ろをついて回る、妹のような存在だった。
「私ね、いっぱい勉強して、大きくなったらパパみたいに立派な司祭様になるの」
「だったら俺は、悪い奴らからスピレアを守る騎士になる」
そんな他愛もない夢を、よく二人で語り合っていた。
スピレアは、父親と母親が大好きな子だった。
太陽のように明るく、誰にでも優しい。
幼いながらも夢に向かって一生懸命努力する姿は、いつも私の励みになっていた。
だから私は、そんなスピレアを守るために騎士を目指した。
司祭になったスピレアを守る。
いや、スピレアのお父様やお母様まで守れる騎士になる。
そう考えると、まだまだ努力が足りない。
昔の私は、そんなことばかり考えていた。
スピレアの隣に立つにふさわしい騎士になるため、ただひたすら剣を振り続けた。
そんなある日。
スピレアに精霊術師の才能があることが判明した。
私は猛反対した。
喧嘩すらしたことのないスピレアが、命懸けの旅に出るなんて認められなかった。
「私は、みんなのために平和な世界にしたいの! だから、精霊術師になりたいの! どうして分かってくれないの!? ルドベックお兄ちゃんのバカ!! もう知らない!!」
そう言い放たれ、大喧嘩になったこともあった。
結局、スピレアのご両親の説得もあり、スピレアは司祭の道へ進むことになった。
司祭を育てる魔法学校への入学が決まった時は、自分のことのように誇らしかった。
私もうかうかしていられない。
もっと強くならなければ。
私は、スピレアを守る騎士になる。
そう、心に誓ったのだ。




