決戦後(ルドベック視点)
「ルドベック!!」
スピレアの怒声で、私は我に返った。
辺りを見回す。
私は今…何をしてしまった?
その時、グラッドが倒れゆくアスターを受け止めた。
ああ、そうか。
ようやく現実を理解する。
アスターのことは、確かに気に入らなかった。
だからといって、ここまでする必要はなかったじゃないか。
私は、自分が犯した過ちと向き合わなければならない。
激しい後悔が胸を締めつける。
カラン――。
乾いた音が響く。
いつの間にか、手から木剣が滑り落ちていた。
アスターを抱えたグラッドが、ゆっくりとこちらへ歩いてくる。
その表情は読めない。
逃げたい。
そんな衝動に駆られる。
必死に踏みとどまろうとした。
それでも、足は一歩だけ後ろへ下がってしまう。
「大丈夫よ。安心しなさい」
グラッドは穏やかな声でそう言うと、私の横を通り過ぎていった。
その一言だけで、張りつめていた心が少しだけ軽くなった気がした。
「ローレル、こっちに来てちょうだい。スピレアと一緒にアスターちゃんを運んでほしいの」
グラッドはスピレアと二言三言話した後、ローレルへ声を掛けた。
「なんか、あーしの扱い悪くなーい? あーし、肉体派じゃないんだけどー」
ローレルは頬を膨らませ、不満そうにぼやく。
「友達って、助け合うものでしょ」
グラッドはアスターの片腕をスピレアの肩へ回しながら言った。
「へいへーい」
ローレルは渋々といった様子で、小走りに駆け寄る。
すれ違いざま、小さな声で囁いた。
「あとで、あーしにも聞かせてね」
その表情は見えなかった。
でも、笑っていた気がした。
胸が小さくざわつく。
思わず振り返る。
「二人で支えるのよ」
「こ、こう? あーし、やったことないから分かんないよ」
そこにいたのは、いつも通り気だるそうなローレルだった。
…見間違いだったのだろうか。
そう考え込んでいると、グラッドが戻ってくる。
「それで? ルドベックちゃんらしくなかったわね。何があったのかしら?」
真っ直ぐに私を見つめて問いかける。
その眼差しは、隠し事は許さないと語っているようだった。
「はぁ…ここでは話しにくいようね」
グラッドは小さくため息をつく。
「場所を変えましょうか。川辺なんてどう? 川の音が話し声をかき消してくれるわよ」
不器用な子ね。
そんな言葉を飲み込んだような、優しい提案だった。
グラッド。
見た目は変わってしまったけれど、中身は昔のままなんだな。
本当に頼りになる。
…ありがとう。
心の中でそっと呟き、私は静かに頷いた。
7/16
ep.1-12を削除してep.1-4で書き直しました。
それに伴って、ep7とep13を追加しました。
ep1からグラッドとローレルが登場するように調整したため、このような形となりました。
ストーリーに影響は全くございません。




