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精霊術師の終着点 〜 短い言葉に込めた重い物語 〜  作者: ワイパス
サイハテノ村バルダック
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少女との出会い

「うん?ここは…?」

目を覚ましたが悪夢からは覚めていないようである。

上半身を起こして辺りを観察することにした。

一目で病院ではないことが分かる。

見知らぬ黒い天井。

カチカチの地面。

そして、木で作られた格子に光源となっている松明。

「はぁー。現実なのか?」

今、目の前の現状がリアルであるという事実から目を背ける。

大きなため息をつき力なく天井を見上げてつぶやく。

「って、痛っ!!」

寝起きでぼんやりとしていたため初めは気が付かなかった。

意識がだんだんと覚醒するにつれて手首の違和感というか痛みに気がついた。

そう、拘束されているのであった。

「こんなにきつく縛って傷がついたらどうしてくれるんだ。と言うか、俺は無罪だ!!弁護士を出せ!!」

何か植物でできた縄できつく縛られ擦れた際に出来たであろう傷がジクジクと嫌な痛みを奏でる。

その痛みがイライラを助長し、瞬間湯沸かし器のように頭が怒りで沸く。

とにかく、叫んでみた。

しかし、反応はない。

独り言を言わなければ、静寂がただただ虚しく包み込んでくる。

ぐぅ~っと腹がなる。

「腹減ったー。そう言えば、まだ何も飲んでないし食べてないじゃん。」

静寂の寂しさに押し潰されないように思ったことを呟く。

その時、遠くの方からこちらへ、ととととっと走り寄るような音が聞こえてくる。

「人!!」

人の足音だとわかった時には、劣悪な環境に放り込まれた怒りよりもわけのわからない世界で初めて人に会えるという期待と喜びに心躍った。

そして、木の格子の方へこちらも近づいていく。

木の格子に手を置いたときには、目の前に足音の主が居た。

そして、その子から発せられる女性特有の甘く心地の良い香りが鼻腔を刺激する。

そこには、身長158cmくらい。

栗毛色のショートカットの髪。

パチクリとした真ん丸で大きい翡翠色の瞳。

白を基調とし金色の刺繍が施されたRPGのヒーラーのような服を着ている少女がいた。

その子が口を開く。

「えっと、目が覚めましたか?おけ…」

女の子から言葉が発せられる。

日本語だ。

彼女は日本語を話せるんだ。

そう思うと、目尻がカァーっと熱くなるのを感じつつ彼女の言葉を遮るようにこちらも言葉を発する。

「日本語!!日本語だ日本語!!日本語わかるんですか?日本人なんですか?」

いきなり生死の境を彷徨うような肥溜めのような世界に舞い降りた女神様のように彼女は見えた。

それ故に、彼女の言葉を最後まで聞かず大声を出してしまった。

そして、彼女の顔が曇った。

理由は分かる。

人の話を最後まで聞けない人間はカスである。

それにこの容姿のどこが日本人だ?

バカでもわかる。

そんなはずはない。

「あぁ?えぇっと。俺、ここがどこかわからなくて。そんな中、同じ日本人?日本語がわかる方と出会えたのがとっても嬉しくてそれでその…申し訳ございませんでした。」

すぐに言葉を遮った理由と謝罪をしなければならないと思い口を開くがうまく言葉を紡げない。

最初、モゴモゴと話していたが、彼女の顔から曇りが取れないので誠心誠意土下座した。

「あっ、えっと、そのぉ…だ、大丈夫ですよ。」

彼女が言葉を発し始めたので恐る恐る顔を上げて様子をうかがう。

彼女の顔は、曇っているどころではなくなっていた。

明らかに焦りが顔に浮かび、可哀想なものを見るような視線がこちらを貫く。

一瞬だけ沈黙した。その沈黙に耐えられなかったのだろうか。

彼女は

「えっとぉ、ちょっと待っててくださいね」

そう言ってこの場からいなくなってしまった。

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