目覚め1
春の様な暖かさ、心地よい風、冷たい地面の感覚。
そんなベッドとは程遠い感覚の中、目を覚ました。
ここはどこだ?目が覚めてまず疑問に思う。
身体を起こして、覚えている限りの記憶を辿ってみる。
確か、僕は昨日2日前の飲み会で飲み過ぎて1日永遠とダウンしていた。
駄目だ。思い出そうとしても便器の画像しか頭に浮かばない。
いや、それでも確かにベッドに入って昨晩は眠りについたはずだ。
などと取り留めのない思考が頭の中をグルグルと駆け巡る。
そこで気がついた。これは夢だ。
普段、社会人として忙しく働きまわっていたから疲れが知らずのうちに溜まっていたのだろう。だから、こんなセラピーな夢を見ているんだ。違いない。
そう結論づけると、周りの木々がそよ風に吹かれて奏でる音や知らない野鳥の声に耳を傾ける。
そして、ふと思いつく。夢ならば魔法を使ったり美女を召喚できたりするのではないか?
その様な思考にたどり着くと居てもたっても入れなくなり立ち上がる。そして、両手を天高く掲げこう唱える。
「風よ。我が命に答え、刃となりて木々をきり倒せ!!」
詠唱も虚しく通り過ぎるのは何の変哲もない春の穏やかなそよ風であった。
ふむ。どうやら、自由度の低い明晰夢のようである。
ため息を一つつくと再び地面に腰掛けて
「こんな馬鹿なことをやっている暇があったら、さっさと目を覚まして会社にでも行くか。」
とボソリと呟く。
つぶやいたのは良いがどうしたら目が覚めるのかは分からない。
「アラームが鳴ってくれるだろうし今は寝て待つか。」
心地よい風と陽気な暖かさに誘われるように睡魔がやってきたのであくびを一つして呟くと横になった。
そのまま目を閉じると不思議なことに何ら抵抗もなく寝付いてしまった。
次に起きた時には何時も通りアラームが鳴り嫌な気分で扉を空けて通勤するそんな日常が戻ってくるとこの時は信じて疑わなかった。




