表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊術師の終着点 〜 短い言葉に込めた重い物語 〜  作者: ワイパス
サイハテノ村バルダック
19/29

魔法と魔石

温泉のスタッフに案内され、医務室へやって来た。

コンコンコン。

扉を叩く。

「入っていいわよ。」

中からグラッドの声が返ってくる。

扉を開けて中へ入ると、そこにはベッドが四つほど並んでいるだけの簡素な部屋が広がっていた。

「アスちゃん、ありがとね。」

ローレルが、眠っているスピレアへ手をかざしながら言う。

右手の親指についたネイルが緑色に怪しく光っている。

どうやら、魔法を使っているらしい。

ハンディファンみたいな魔法もあるのか。

便利な世界だな。

そんなことを考えながら、グラッドへ頼まれていた飲み物を渡し、丸椅子へ腰掛ける。

「それも魔法なのか?」

ローレルへ尋ねる。

「そそ。」

短い返事。

「そのネイルは?」

怪しく光る爪を指差して聞く。

「かわいいっしょ?」

ローレルは得意げに答えた。

違う。

そうじゃない。

不満げな視線を向けると、ローレルは察したようにため息を吐く。

「あー、はいはい。このネイルについてる宝石みたいな石、分かる?」

ローレルが左手を見せてくる。

これは分かる。

ネイルストーンというやつだ。

馬鹿にするな。

そう思い、少し得意げに答える。

「ネイルストーンだろ?」

「なわけー。」

ローレルは呆れたように言った。

「これは魔石って言うの。」

魔石?

ああ、魔力石の通称か?

そう思って聞き返す。

「魔力石じゃなくて?」

「あー、それとは違うね。魔石っていうのは、アスちゃんの世界の言葉で言うなら…触媒ってやつ?」

ローレルは少し考えながら説明する。

全く分からない。

触媒?

化学の授業で聞いたことがあるような。

ないような。

もっと勉強しておけばよかった。

まさか異世界に来て、現代知識でギャルに負ける日が来るとは思わなかった。

屈辱である。

「あれ? ピンと来てない感じ?」

ローレルは、自分の説明が間違っていたのかと思ったらしく、首を傾げて後頭部を掻く。

「まあ、いっか。」

気を取り直したように話を続ける。

「ざっくり説明すると、魔法って適性さえあれば誰でも使えるわけ。」

ローレルは指を一本立てる。

「でも、魔力消費は激しい。威力は低い。しかも発動には詠唱が必要。だから、使い物にならない人が多いわけ。」

なるほど。

分かりやすい。

このギャル、本当に頭が良いのか?

「そこで魔石の出番ってわけ。」

ローレルは自分のネイルを軽く叩く。

「適性がある人が魔石に魔力を流すと魔法が簡単に使えるんだよね。それに、魔力を節約できるし、威力も上がる。しかも詠唱もしなくていい。最高っしょ?」

確かに便利だ。

「そういうわけで、魔石は魔法を使う時の補助具になったってわけ。」

ローレルは説明を終える。

「どう? 分かった?」

「分かりやすかった。」

素直に答える。

このギャル、ただ者ではない。

「じゃあ、魔力石は?」

続けて質問する。

するとローレルは少し困ったような顔をした。

「魔力石ねぇ……。」

少し考えた後、口を開く。

「魔石が魔法の補助具だとしたら、魔力石は魔石の補助具って感じ?」

なるほど、分からん。

頭の中に大量の疑問符が浮かぶ。

腕を組み、首を傾げていると、ローレルが呆れたように言い直した。

「あー、簡単に言うと、適性外の魔法を使うための便利グッズってこと。」

具体的に説明してくれる。

「例えば、火の適性がない人でも、魔力石と火の魔石を組み合わせれば火の魔法が使えるってわけ。便利っしょ?」

なるほど。

それなら分かる。

魔石が魔法を強化する道具。

魔力石は、本来使えない魔法を使うための道具。

そういうことか。

科学の代わりに魔法が発展した理由が、少し分かった気がする。

「う、うーん……?」

その時。

ベッドから声が聞こえた。

スピレアがゆっくりと目を覚ました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ