↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/131

長湯

随分と湯船の中で考えた。

そうさ。

考えたさ。

でも、結局答えは出なかった。

頭がクラクラする。

どうやら、完全に入り過ぎたらしい。

グラッドもローレルも、そしてスピレアも待っているだろう。

気は重い。

それでも、いつまでも逃げているわけにはいかない。

覚悟を決めて、温泉から出た。

そこには、グラッドとローレルがいた。

しかし、スピレアの姿はない。

少しだけ、安心してしまった。

「あ、アスちゃん。おつー。」

ローレルが、まるで一仕事終えた後のような顔で手を振ってくる。

…何かあったのか?

おそらく、女湯でも色々あったのだろう。

「随分と長湯だったのね。そんなに温泉が気に入ったのかしら?」

グラッドがニヤニヤしながら言ってくる。

絶対に何か知っている。

しかし、今は相手をする気力がない。

無視することにした。

「アスちゃん、ちょっと。」

ローレルが手招きをする。

いつもの気だるそうな表情ではない。

真剣な顔だった。

どうした?

体調でも悪いのか?

そんなことを考えながら近づく。

「スピちゃん、結構落ち込んでるのよ。」

ローレルは小声で言った。

「だから…ね?」

首を傾げる。

お願い、と言いたげな表情。

…だから、どうしろというのだ。

何も答えられずにいると、ローレルは続けた。

「グラちゃん。乙女って、リードされたいものよね?」

突然、グラッドへ話を振る。

次の瞬間。

グラッドが凄い勢いでこちらへ近づいてきた。

何だ?

何の話だ?

「そうよ。乙女はね、いつだってリードされたいものなの。」

グラッドは目を輝かせながら言う。

「だから、アスターちゃんも頑張りなさい。」

そして

バシンッ。

なぜか背中に強烈な張り手を受けた。

痛い。

背中がジンジンする。

「つまり…先に謝ればいいってことか?」

何となく、自分なりに答えを出す。

スピレアの気持ちを乱してしまった原因は、自分だ。

なら、謝るべきなのではないか。

そう思った。

しかし、本当にそれでいいのかという不安もあった。

「うーん…まぁ。」

グラッドが少し困ったような顔をする。

「アスターちゃんだし、正解…なのかしら?」

「アスちゃんだし、正解でいいんじゃね?」

二人とも、どこか納得していない。

どうやら、もっと別の答えがあるらしい。

なら教えてくれ。

「他に方法があるなら教えてくれ。」

藁にもすがるような気持ちで尋ねる。

すると

「ねー?」

「ねー?」

二人は顔を見合わせた。

何なんだよ…

「スピちゃん、ちょっと遅くね?」

ローレルが立ち上がる。

「あーし、見てくるわ。」

そう言って女湯の方へ向かった。

数秒後。

「スピちゃん! ちょっと、どうしちゃったの!? 大丈夫!?」

ローレルの叫び声が響き渡った。

その声を聞きつけた温泉のスタッフが、慌てた様子で女湯へ駆け込んでいく。

「グラちゃんは運ぶの手伝って。アスちゃんは、冷たい飲み物を持って医務室ね。」

ローレルがひょこりと顔を出し、的確に指示を出す。

その判断の速さに感心する。

…ギャルなのに?

そんな失礼な疑問が頭をよぎった。

どうやら、スピレアは長湯をし過ぎて倒れてしまったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。