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精霊術師の終着点 〜 短い言葉に込めた重い物語 〜  作者: ワイパス
アインシュ族
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誇り

ナルシサスの説明で、アインシュ族が歩んできた歴史は理解できた。

だからこそ、新たな疑問が頭に浮かんだ。

「なぁ。力を手に入れたんだ。復讐しようとは思わないのか?」

何気なく尋ねたつもりだった。

しかし

「復讐?」

ナルシサスの表情が変わった。

「それは、俺様たちがやられたように、外地の人間を迫害して奴隷にしろという誘いか?」

怒りの滲んだ瞳が、こちらを真っ直ぐに見据える。

「ナルシサス!」

フランネルが、すぐさま制止する。

「…!」

ナルシサスは、ハッと我に返った。

「ごめんよ…」

弱々しい声で謝る。

「それに、君にもごめんよ…」

ナルシサスはこちらにも頭を下げた。

「いや、俺も迂闊だった。すまない」

ナルシサスの反応を見て申し訳なくなり、こちらも頭を下げ返す。

「いや、謝らなくていい」

ナルシサスは顔を上げる。

「実際、復讐をしようという声も、アインシュ族の中にはあるんだ」

少し困ったような表情を浮かべながら続ける。

「良かったら、復讐をしない理由を教えてくれないか?」

どうやらアインシュ族も、決して一枚岩ではないらしい。

だからこそ、その理由を聞いてみた。

「俺様たちは、勇者の末裔だ」

ナルシサスは、誇らしげな笑みを浮かべる。

「そんな俺様たちが、外地の人間と同じことをしたら…ご先祖様に顔向けできないだろ?」

「…」

その言葉には、アインシュ族としての強い誇りが感じられた。

「それに…」

ナルシサスが、ふと口を閉ざす。

「それに?」

続きを促すと、ナルシサスはフランネルへ視線を向けた。

「これは俺様個人の話だがな」

その表情が、少しだけ柔らかくなる。

「俺様は、誰も傷つけたくないっていうフランちゃんの考えを尊重している」

そして、優しい眼差しでフランネルを見つめる。

「フランちゃんが復讐を望まないなら、俺様も望まない」

少し照れくさそうに笑う。

「フランちゃんの笑顔が見られるなら、それだけで十分だからだ」

「…」

二人の関係の深さを感じ、なんだか穏やかな気持ちになる。

良い関係なんだな。

そう思った。

その時だった。

「フランちゃんのことは副総統と呼びなさいって、何回言えば分かるのよ! バカナルシサス!」

顔を真っ赤にしたフランネルが叫んだ。

「ごめんよ。フランちゃん…」

ナルシサスが弱々しく謝る。

仲が良いんだな。

そう思って、思わず微笑みかけた、その時

ブーッ!

突然、会場中にブザーが鳴り響いた。

同時に、照明が一斉に落とされる。

「…!」

会場が暗闇に包まれる。

そして

「みんな~! 今日は来てくれてありがとうね!」

若い女性の元気な声が、会場いっぱいに響き渡った。

直後、観客席から大きな歓声が上がる。

どうやら、コンサートが始まるようだ。

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