発見
少女が指差した方へ走っていくと、やがて木製の扉が現れた。
その扉をくぐって外へ出る。
辺りを見回すと、遠くの方に白い髪の三人組が見えた。
「あれじゃないか?」
見つけたことが嬉しくなり、思わず指を差す。
「じゃあ、行くわよ」
グラッドの一言を合図に、アインシュ族の後を追い始めた。
茂みや木々の陰に身を隠しながら追跡していると、ルドベックが小声で口を開いた。
「…本当に、機械を使うのか?」
「他に案があるのか?」
不安そうなルドベックに、こちらも声を潜めて返す。
「…泳いで渡るとか、船を買って渡るとか…他にも方法はあるだろう」
「そんな悠長なことをしている時間はないだろ?」
「それもそうだが…」
ルドベックは眉間に深い皺を寄せたまま口ごもる。
そんなやり取りをしているうちに、視界が一気に開けた。
どうやら浜辺に出たらしい。
そして、そこには一隻のジェットボートが係留されていた。
「…じゃあ、行くわよ」
グラッドはそう呟くと、身を低くした。
次の瞬間
一気に地面を蹴って飛び出す。
「誰…うぐっ!」
振り返ったアインシュ族の腹部へ、グラッドの拳がめり込んだ。
ズドンッ!
重い衝撃音が響き、相手は前のめりに倒れ込む。
「な、なんなんだよー!」
仲間が倒されたことに驚き、別の一人が腰の剣へ手を伸ばす。
しかし
グラッドの方が速かった。
一人目を倒した勢いのまま方向転換し、剣を抜かれるより先に懐へ潜り込む。
「ぐっ…」
再び腹部へ拳が叩き込まれ、二人目もその場に崩れ落ちた。
「ば、化け物!」
最後の一人が慌てて銃を引き抜き、グラッドへ向ける。
しかし、その背後には
「…」
いつの間にかルドベックが立っていた。
先ほどまで隣にいたはずなのに、まるで気配を感じさせない。
そのまま相手の首を締め上げる。
「ぐっ…!」
やがて全身から力が抜け、手にしていた銃が砂浜へ落ちた。
ルドベックはそれを確認すると、力の抜けた相手をゆっくりと地面へ寝かせる。
「…どっちが悪役なんだよ」
あまりにも手際のいい二人の連携に、思わず苦笑しながらツッコむ。
「…それを言うな」
ルドベックも困ったように返した。
「でも、これで船が手に入ったわよ!」
グラッドは係留されたジェットボートをバンバンと叩きながら、満面の笑みを浮かべる。
「よし、これで…」
そう言いながらグラッドはボートへ乗り込む。
そして、辺りを見回した。
「あら?」
ボタンを押す。
ハンドルをひねる。
もう一度ボタンを押す。
「…どうやって動かすのかしら?」
グラッドは首を傾げた。
「本当に使うのか…?」
その様子を見て、ルドベックが不安そうに呟く。
「仕方ないじゃない」
グラッドはボートから降りると、何でもないことのように答えた。
「使い方を吐かせましょうか」
そして、気絶しているアインシュ族の一人へ向かって歩き出す。
「ちょっと待って!」
流石にそれはまずい。
奇襲を受けて気絶している相手から、拷問まがいの方法で聞き出すのには抵抗がある。
慌てて手を上げ、グラッドの前へ駆け出した。
「俺が何とかしてみるから!」




