↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/128

指針

「行くと言っても、どうやって向かうんだ?」

ルドベックが疑わしげな視線を向けてくる。

「さあ? そこは皆で考えようよ」

行く方法までは思いついていなかったので、正直に答えた。

「はぁ…。貴様に期待した私が馬鹿だった」

ルドベックは深いため息をつき、肩を落とす。

「でも、おかげで少しだけ冷静になれた」

そう言って、わずかに口元を緩めた。

…感謝している、ということなのだろうか。

そんなことを考えて首をかしげていると、

「…行く方法ならあるわよ」

今度はグラッドが静かに口を開いた。

「考えてもみなさい。アインシュ族は、どうやってあの島とパウロを行き来していると思う?」

「どうやってって…ボートじゃないのか?」

エヒメアへ向かう途中で見かけた、アインシュ族のジェットボートを思い出しながら答える。

「そう。そのボートを奪えばいいじゃない」

グラッドは得意げな笑みを浮かべた。

「おお!」

思わず感嘆の声が漏れた。

「反対だ!」

しかし、ルドベックが即座に声を張り上げる。

「機械を使うこと自体、教典に反する!」

一歩も譲る気はないらしい。

「そんなに教典が大事なのか?」

理解できずに問い返す。

「当然だ。教典には、人が正しく生きるための道が記されている。それを軽んじるなど、許されることではない」

ルドベックは迷いなく言い切った。

「…スピレアの命よりも?」

その一言に、ルドベックの表情が固まる。

「それは…」

返す言葉が出てこない。

グラッドと顔を見合わせ、小さく頷いた。

「だったら、決まりだな」

「しかし…」

なおもルドベックは食い下がる。

「相手がアインシュ族だからといって、盗めば犯罪だぞ」

「男なんだから、細かいこと気にしちゃ駄目よ。それに、散々襲われているのだもの少しくらいは、ね?」

グラッドはあっけらかんと笑う。

「でも、ボートを拝借すると言っても当てはあるのか?」

一番気になっていたことを尋ねる。

「停泊場所までは分からないわ。でも、アインシュ族が身を潜めていそうな場所なら心当たりがあるわよ」

グラッドは自信ありげに微笑んだ。

「本当か! どこなんだ?」

期待を込めて身を乗り出す。

グラッドは街を囲む高い内壁へ視線を向けると、その向こうを指差した。

「…スラム街よ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。