発見
グラッド、ルドベックとともに街の入り口近くまでやって来た。
避難が完了しているため、辺りに人影はない。と
「それで、何を見たんだ?」
重苦しい沈黙を破ったのはルドベックだった。
「…フランネルとナルシサスよ」
グラッドは言いづらそうに口を開く。
少し間を置いて、さらに続けた。
「それと…スピレアも一緒にいたわ」
申し訳なさそうな声だった。
「グラッド! 貴様、何をしていたんだ!」
ルドベックが怒鳴り、掴みかかろうとする。
「待て、ルドベック!」
慌てて二人の間へ割って入る。
「グラッド。どういうことだ? スピレアは攫われたのか?」
できるだけ冷静に尋ねる。
「アタシも一瞬見えただけだから、断言はできないのだけど…」
グラッドは苦しそうに目を伏せた。
「誘拐というより…自分の意思でついて行っているように見えたわ」
「そんなはずがあるか!」
ルドベックが即座に否定する。
「そもそも貴様! 二人とスピレアを見つけておきながら、何もしなかったのか!」
怒りはさらに強くなる。
「何もしなかったわけないじゃない!」
グラッドも声を荒らげた。
「すぐに追いかけたわよ!」
悔しそうに拳を握り締める。
「でも、人混みに紛れられて…見失ったのよ」
「言い訳をするな!」
「言い訳じゃないわ! 何度もスピレアを呼んだもの!」
二人の声がぶつかり合う。
「二人とも、落ち着いて!」
このままでは喧嘩になってしまう。
慌てて、二人を制した。
「今、ここで責め合っても、仕方がないだろ!」
二人が黙り込む。
「確認したいんだけど、スピレアはフランネルたちと一緒にいたんだよな?」
「…ええ」
グラッドが小さく頷く。
「だったら、やることは一つじゃないか」
「何?」
ルドベックが鋭い視線を向ける。
「スピレアに会いに行く」
「会いに行くと言っても、どこへだ?」
「誘拐だったとしても、自分の意思だったとしても、向かう場所は同じはずだ」
ルドベックの眉がぴくりと動く。
その視線を真っすぐ受け止め、静かに笑った。
「地図に載っていない島へ行くんだ」




