↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/128

増援

「放てーっ!」

魔物と対峙していた、その時だった。

鋭い女性の号令が背後から響く。

次の瞬間

赤、青、黄、緑、銀。

五色の魔法が雨のように降り注ぎ、魔物たちを一斉に飲み込んだ。

轟音が連続して響き渡る。

爆炎が舞い、氷が砕け、岩が弾け、木々が絡み、刃の雨が降る。

周囲の建物にまで衝撃が及び、激しい土煙が街を覆った。

「撃ち方、やめ!」

再び女性の声が響く。

魔法の雨はぴたりと止み、静寂が戻った。

「なんだ!?」

慌てて振り返る。

そこには、魔導服に身を包み、杖を構えた魔導士たちが整然と並んでいた。

「こっちにも援軍が来てくれたみたいだねぇ」

団長が口元を緩める。

隊列の先頭から、赤縁眼鏡をかけた黒髪ショートの女性が一歩前へ出た。

「団長。市民の避難はすべて完了いたしました」

「ご苦労さん。でもさぁ…」

団長は頭をぽりぽりとかきながら、周囲を見回す。

崩れた建物や抉れた石畳を見て、小さくため息をついた。

「街まで壊しちゃって。これ、どうすんの?」

「団長が始末書を書けばよろしいのでは?」

女性は表情一つ変えず、淡々と返す。

「えぇ~、それは勘弁してよ」

団長は心底嫌そうな顔をした。

そのやり取りに思わず苦笑していると、

「アスターちゃん! ルドベックちゃん! 二人とも無事だった?」

聞き慣れた声とともに、グラッドが魔導士たちの列から駆け寄ってきた。

「グラッド!」

無事な姿を見て、胸をなで下ろす。

「もしかして…エヒメアの英雄、グラッドさんかい?」

団長が興味深そうに尋ねる。

「あら?英雄だなんて嫌だわ。アタシはただのグラッドよ」

グラッドはさらりと笑って答えた。

「…人違いだったか。失礼したね」

団長は肩をすくめ、小さく頭を下げる。

そして煙管をくるりと回すと、騎士団へ向き直った。

「さて、副団長とも合流できたことだし。ここからは包囲殲滅戦といこうか!」

「おおおおおっ!!」

騎士団と魔導士団の双方から雄叫びが上がる。

団長は満足そうに頷くと、再びいつもの気の抜けた笑みに戻った。

「というわけで、みんなここまでご苦労さん。あとは避難しちゃってよ」

「では、街の外まで護衛を」

副団長がすぐに指示を出そうとする。

しかし、団長は手をひらひらと振った。

「いいよ、いいよ。ルドベックが一人いれば十分さ」

「ですが…」

「それにさぁ。第一騎士団が魔物を撃ち漏らさなければ、良いだけだろ?」

団長は自信満々に笑う。

その言葉に、副団長もそれ以上は何も言わなかった。

「アスターくん。それとグラッドさん。また今度、パウロへ遊びに来てよ」

団長は煙をふかしながら振り返る。

「その時は、ちゃんと表彰してあげるからさ」

そう言い残すと、迫り来る魔物たちへ向かって駆け出していった。

「まったく…」

副団長は小さくため息をつく。

「そういう訳ですのでここから先は、我々第一騎士団にお任せください」

きっぱりと言い切るその姿には、揺るぎない自信があった。

「ですが」

まだ戦える。

そう言おうとした瞬間、グラッドがそっと腕を掴んだ。

「アスターちゃん。ここは任せましょう」

振り返ると、グラッドは穏やかに微笑んでいた。

だが、その表情はどこか硬い。

「それより…気になるものを見たの」

そう言って、眉間に深いしわを寄せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。