牢屋の外の世界
グラッドとスピレアについて外に出ると夜だった。
ひんやりとした澄んだ空気。
月明かり。
満天の星空。
どれもが経験のないほど美しいものだった。
「すげぇ。」
その美しさを言葉で表現する術を持ち合わせてはいない。
ただ、そう呟いた。
「あら?何もないわよ。」
不思議なものを見るようにグラッドがこちらを見てそういった。
「だからだよ。」
グラッドの言う事はもっともだ。
しかし、何もないからこの満天の星空がある。
皮肉なものだ。
都会の喧騒とは真逆の環境の迫力に圧倒されつつ返した。
「ふふふ、コンペートー、京都は違うの?」
スピレアがどこか嬉しそうに笑いながら聞いてきた。
こちらにわかりやすいようにわざわざ地名を言い換えて。
俺に話を信じてくれたのか?
いや、ただの好奇心だろう。
そんな感情を抱くような視線をこちらに向けてくる。
「京都にこんな美しい星空はな…かったはず。」
そんな視線を気にせずに記憶を辿ってないと断定しようとする。
やはり、京都の夜空を思い出せない。
思い出せないので少し言い淀み、不安そうに言った。
「何それ?変なの。」
スピレアがその答えを聞いておかしそうに笑いながら返してくる。
思い出せないのだから仕方がないじゃないか。
そう応えようとする。
「アナタ達、何しているの?置いていくわよ。」
応えようとすると少し遠くの方からグラッドが呼びかける。
隣に居ると思っていたが先に1人歩いて行ったようだ。
「今行くー!!」
スピレアがグラッドに返す。
そして、タタタタタっとグラッドの方へ走り出す。
「アスターさんも!!」
走る途中でこちらを振り返りスピレアが急かしてくる。
その急かしに呼応するように小走りでスピレアの背中を追った。




