牢屋からの解放
2人が出ていってどれくらい経っただろうか。
食事を取り終わり、やることもなくボーッと壁にもたれかかって時間が立つのを待っていた。
パタパタパタと聞き覚えのある走る音が聞こえる。
スピレアが戻ってきたのだ。
オカマも連れて。
「お待たせ。牢屋から出られるようにグラッドさんが皆を説得?してくれたんだよ。」
到着するや否やスピレアは、牢屋の鍵を開けてくれる。
こちらも早く出られるように立ち上がり、牢屋の扉の前に行く。
カチャリと音を立てて牢屋の錠前が外される。
これで解放される。
そう思うと喜びが込み上がってきた。
牢屋の扉が開かれるとウキウキとした様子で檻の外へ出た。
「ありがとうございました。」
外へ出てグラッドに深々と頭を下げてお礼を言った。
そして、頭を下げたまましばらく待った。
「オホホホ。良いのよ。お礼なんて。アタシの腕力にかかればこれくらいどうってことないわ。」
グラッドがマダムのように笑いながら口に手を当て、手招きのような行動をしつつそう言う。
いや、待て。このオカマ話術じゃなくて腕力と言ったか?
そう聞き間違いであってほしい疑問を頭に浮かべつつ顔を上げる。
「ちょっと良い?」
グラッドを訝しげんでいるとスピレアから声をかけられた。
どうやら、縄を切ってくれるようだ。
スピレアが、手に持ったナイフでこちらの手に傷つけないように器用に切ってくれる。
「ありがとう。」
手を解放してくれたのでお礼を言った。
さて、先程まで何を疑問に思っていたのだろうか?
こんな事で忘れるくらいだ。どうでも良いことなのだろう。
「それで、この後はどうしたら良い?」
今後の動きを確認する。
縛られていた箇所を触り、手首の痛みや動きに違和感がないかを確認する。
異常はなさそうだ。
「そうね。明日の朝、アスターちゃんを紹介することになっているから…今晩家に来る?」
グラッドは、今後について話してくれた。
そして、こちらを見つめもじもじとしつつ恐ろしい提案をしてくる。
全身に悪寒が走りブルブルッと身震いをする。
まさか、檻の中の方が安全だったとは盲点だった。
「ちょっと。どこに行くのよ、アスターちゃん。冗談よ。」
無言で安全な牢屋の中へ戻ろうとしたらグラッドに腕を掴まれて阻まれた。
冗談でもやめてくれ。
寿命が縮む気がする。
「ふふふ。教会に宿泊所もあるし大丈夫だよ。」
そんなグラッドとのやり取りが面白かったのかスピレアが笑った。
そして、宿泊場所の提示をしてくれる。
どうやら、牢屋で1晩過ごさなくても良いようだ。
「それは助かる。」
スピレアからの提案に安堵の息を漏らして答える。
「何よ。アタシの時と態度違うじゃないの。」
グラッドは、その様子が気に食わないらしい。
ぶーっと拗ねたように唇を尖らせてそう言った。
態度の違いは当然だ。
方やか弱そうな女の子。
方や屈強なオカマ。
同列に扱えというのが無理である。
「まぁ、良いわ。それじゃあ、行きましょう。」
ここでそんなに話し込んでも仕方がないと言いたげな態度でグラッドに急かされる。
そう言うとグラッドは出口の方へと歩き始めた。
「待ってよ。」
スピレアがグラッドの後を追う。
それを追いかけるような形でついて行った。




