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神域のアーキテクト 〜世界が滅亡したので、スマホで自宅を絶対安全要塞に書き換えます〜  作者: kiro


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環境構築(Ver4.0)と、神様の定時退社



『システム・ゴッド』の権限(Root)を完全に掌握した相田蒼太のスマホが、真っ白なサーバー空間で神々しいプラチナの輝きを放っていた。


「……さてと。前任のクソ運営(神)が残した、この世界っていう名のスパゲティコード(バグだらけの仕様)。全部俺好みに『環境構築リファクタリング』させてもらうか」


蒼太は仮想キーボードを展開し、カタカタと軽快な音を立ててタイピングを始めた。


傍らに控える凛、ルシス、カーミラ、そして四大帝たちは、固唾を呑んで「新世界の創世」を見守っている。


【グローバル設定(世界の基本ルール)を開きます】

【プロトコル:『人類の殲滅(ダンジョン化)』をコメントアウト(無効化)しました】

【新規ルール追加:『相田蒼太の絶対的な有休スローライフ』を最優先タスクに設定】


「ダンジョンが世界中にあると俺の安眠の邪魔だからな。魔物が発生するエリアは『指定のインスタンス・ダンジョン(狩り場)』だけに限定する。これで、市民ユーザーが安全に魔石ポイントを稼げるインフラは残しつつ、世界崩壊のリスクはゼロだ」


「おおおおっ……! なんという慈悲深き神(社長)……! 狩り場まで完璧に整備してくださるとは!」


獣帝が感涙にむせび泣く。


「あと、天候の乱れも修正っと。これでよし」

蒼太が最後に【実行(Enter)】キーを力強く叩き(ターンッ!)、高らかに宣言した。


【世界仕様のアップデートを適用します:『アーキテクト Ver4.0・アルティメット・ホワイト・エディション』】


【――全再起動フル・リブートを開始します】


『ピイィィィィン……ッ!!!』


その瞬間、蒼太たちを包んでいた真っ白なサーバー空間が、暖かな光の粒子となって弾け飛んだ。


データ化されていた彼らの自我は、光の速さで現実世界へと帰還していく。


   * * *


――現実世界。新宿セーフゾーン・メガマート屋上。


「……んっ。戻ったか」


蒼太がゆっくりと目を開けると、そこは先ほどまでいた屋上のコンソールの前だった。


手には、完全にアップグレードされ、プラチナ色に輝くスマホが握られている。


「蒼太様ぁぁぁッ!!」


横から、ポロポロと大粒の涙を流す結衣が飛びついてきた。


「結衣ちゃん! よかった、ちゃんと現実キャッシュに戻ってこれたみたいだな」


「蒼太さん、生きて……生きて戻ってきてくれて、本当によかった……っ! 世界が、空が……っ!」


結衣の指差す先、そして屋上に待機していた権田や防衛軍の兵士たちが見上げる先。


そこには、世界を絶望に陥れていた『死のブルースクリーン』の空はもうなかった。


見渡す限りの、透き通るような青空。


暖かな太陽の光が、新宿の街、そして崩壊していた東京の残骸を優しく照らし出している。


空気を満たしていた禍々しい魔素ノイズは完全に浄化され、深呼吸したくなるような清浄な空気が世界を包み込んでいた。


『ブルルルルッ……』

蒼太のスマホに、世界中から一斉に通知ログが流れ込んでくる。


【通知:北米サーバー、魔物発生率0%で安定】

【通知:ユーラシア大陸、異常気象の修正完了】

【通知:世界全域の強制初期化イベントを『完全削除デリート』しました】


「……よし。バグ(終末)は完全に駆除した。平和な世界(Ver4.0)の、本番環境へのデプロイ(公開)完了だ」


蒼太がそう呟いた直後。


光の粒子と共に、凛、ルシス、カーミラ、そして四大帝たちが、次々と屋上へ実体化ポップした。


「蒼太様……! ああ、なんという美しい空……! 貴方様は、本当に世界を救ってしまわれたのですね……!」


凛が白銀の鎧を鳴らしてその場に跪き、震える声で祈りを捧げる。


「フフン! 当たり前よ! アタシたちの蒼太様(社長)が、あのブラックな神様なんかに負けるわけないじゃない!」


カーミラが誇らしげに胸を張り、ルシスは「これで永遠に、蒼太様の安眠を守る業務に専念できます」と優雅にお辞儀をした。


四大帝たちも、もはや覇王のプライドなど微塵もなく、ただの熱烈な信者(優良企業の平社員)として、蒼太に向かって深々と土下座をしている。


「……あー、お前ら。勘違いするなよ」


蒼太は、結衣の頭を撫でながら、屋上の縁に立ち、眼下に広がる新宿の街――大歓声を上げる一万人の市民たちを見下ろした。


「俺は世界を救いたかったわけじゃない。ただ、俺の部屋で、美味い飯を食って、アニメを見て、誰にも邪魔されずにダラダラと生きたかっただけだ。……そのために、クソ運営から権限をひったくったに過ぎねえ」


蒼太は、アロハシャツの襟を正し、プラチナのスマホを天に掲げた。


「だから、お前ら! これからこの世界は、俺の『定時退社スローライフ』を第一優先で回す! 残業は禁止だ! 今日は世界を救った記念に、エコプラントの和牛と海産プラントの寿司を全市民に無料解放フリーミアムする! 腹がはち切れるまで食って、温泉に浸かって、死ぬほど寝ろ!!」


「「「ウオオオオオオォォォォォォォォッ!!! 蒼太社長、万歳!! 新宿ホールディングス、永遠なれェェェッ!!」」」


世界を滅ぼす神の降臨劇は、最強の元SEの「定時退社宣言」と、一万人の社員たちによる狂喜乱舞の宴へとすり替わった。


神が消え、絶対的な平和(不労所得インフラ)が約束された新世界。

相田蒼太の、本当の意味での『究極のニート生活』が、今ここから始まるのだった。

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