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クソザコナメクジから始まる最弱勇者~スライムすら倒せない俺が世界を救うって本当ですか?~  作者: 小鳥遊 千夜
第三章 本物の勇者編 

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第50話 《聖返斬》――ルミナス・ブレード!――逆流する刃

 

「さて、今日は3つ目の技だ」


 朝の訓練場。薄く差し込む光が、地面に長い影を引いている。


 その中心で――リヒトが木剣を構える。


 無駄のない構え。力みは一切なく、それでいて隙もない。

 まるで“そこに在るだけで完成している形”。


「これは“受け”の極技」


「……受けですか?」


 ケイトは眉を寄せる。

 言葉の意味は分かる。だが――


「ただし――」


 リヒトの口元が、ほんのわずかに緩む。

 その笑みは、優しさではない。試す者のそれだ。


「触れたら終わる」


 空気が止まり、風が消えたように感じた。


「打ってきなよ。見せてあげる。」


 挑発でも命令でもない。ただ“事実”を告げる声音。


 ――ならば。


「はい!行きます!」


 ケイトは迷わず、踏み込む。

 全身の力を一点に集約し、木剣を振り抜く。


 躊躇も遠慮もない。ケイトが今出せる、最大の一撃だ。


 ――ガンッ!!


 衝突音が、訓練場に炸裂した。


 その瞬間――


 確かに触れた、はずだった。


 だが――


 《聖返斬(せいかざん)――ルミナス・ブレード!》


「……っ!?」


 衝撃が跳ね返り、体の奥へと叩き込まれる。

 まるで、自分の力がそのまま自分に返ってきたかのように。


 弾かれたのは――ケイトだった。


 衝撃で足元が揺らぐ、その一瞬。


 ――トン。


 軽い音と共に、気づいた時には喉元に木剣が添えられていた。


 動けない。


 一歩でも動けば、それで終わる位置。


「……今のが……」


 声が震える。理解が、追いつかない。


「そう。これが受けの技さ。」


 リヒトは、まるで何でもないことのように言う。


「力も、軌道も、全部、相手へと跳ね返す。


 ケイトの背中に、冷たい汗が伝う。


(すごい…完全に返された……!)


「ただ、攻撃を“防ぐ”んじゃない」


 リヒトは木剣を下ろす。


「“利用する”のさ」


 ケイトは息を呑む。


「……こんなの、どうやって……」


 思わず漏れた言葉。


 それに対して――


「直ぐには無理さ。」

 あまりにもあっさりと、切り捨てられる。


「え?」


「…三つともね。」


 リヒトは指を三本立てる。


「移動の《光踏一閃》、読みの《光導予測》、そして受けの《聖返斬》」


「まずは、この三つを“形”にするんだ」


 基礎のように言う。だが、その実――到達点。


「全部が繋がってる。間合いで入り、読みで外さず、返しで仕留める」


 リヒトがわずかに笑う。


「それが――僕の戦い方だ」


 完成された一切の無駄も、迷いもない“線”。


 ケイトは拳を握る。


 悔しさと、震えと、そして――強い意志。


「……やります。」


 短い言葉。だが、逃げはない。


「いい顔だ。」


 リヒトが頷く。

 ほんの少しだけ、認めるように。


「さぁ――修行の続きだ。手加減はしないからね。」


「はっ…はい!!」


 ケイトの喉が鳴る。

 それでも――目は逸らさない。


 張り詰めた空気の中。


 訓練が、戦いへと変わった。


「よろしくお願いします!!」



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