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クソザコナメクジから始まる最弱勇者~スライムすら倒せない俺が世界を救うって本当ですか?~  作者: 小鳥遊 千夜
第三章 本物の勇者編 

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第44話 勇者の洗礼――“本物”との距離


「全員で来なよ」


 リヒトのその一言で――

 空気が変わった。


「行くぞ!」


 ケイトが踏み込む。


 砂を蹴り、一直線に間合いを詰める。

 その横に、迷いなくプラティナが並ぶ。


「合わせるわ」


 二人の剣が、同時に振り抜かれる。


「魔法で隙を作りますわ!」


 更にアスティの詠唱が重なる。


「回復、いつでもいけます!」


 モナカが後方で構え、視線を全体に走らせる。


「うん、中々いい連携だね」


 あまりにも軽い声。


 その瞬間――


 カンッ!!


 木剣の乾いた音が、鋭く響く。


「なっ――!?」


 二人の剣が、同時に弾かれていた。


 力負けではない。


 “触れられた瞬間、軌道をずらされた”感覚。


「でも、甘いね」


 リヒトの姿が、消える。


「後ろですわ!!」


 アスティの声が飛ぶ。


 だが――遅い。


 気づいた時には、すでに背後。


 トン、と。


 軽く触れられる。


 本当に、それだけだった。


「くっ……!?」


 次の瞬間、ケイトの視界が反転する。


 背中が地面に叩きつけられ、息が強制的に吐き出された。


(何をされた……!?)


 理解が追いつかない。


「ほら、防御が手薄だよ」


 すでにリヒトは次へ動いている。


 プラティナの懐へ。


 ガンッ!!


「きゃっ……!」


 盾ごと弾き飛ばされる。



「反応もまだまだね」


 振り返りもせず。


 ヒュン――


 風が走る。


「ひゃっ!?」


 モナカの杖が弾かれ、そのまま尻餅をつく。


(見えてない……!)


 誰一人、追えていない。


「魔法は悪くない。」


 最後に、アスティの前へ。


 音もなく立つ。


「でもね…」


 そっと、額に木剣を当てる。


「ただ撃つだけじゃ、勝てないよ」


 ――静止。


 その一言で、すべてが終わった。


 全員、倒れていた。


 荒い息だけが、場に残る。


「……はぁ、はぁ……」


 視界が揺れる。


 何が起きたのか、どうやってやられたのか。


 ほとんど分からない。


「はい、終了」


 リヒトが木剣を肩に担ぐ。

 

 勇者の名に恥じない、圧倒的な強さだった。


「ほらな」


 後ろで、ヘカテが笑う。


「言うたやろ?」


「……もう一回だ」


 ケイトが立ち上がる。


 膝が震え、腕も痺れている。


 それでも――


 剣を、握る。


(簡単に、終われるかよ)


「いいね」


 リヒトが少しだけ目を細める。


「それでこそ勇者だ。」


 二戦目。


 今度は間合いを広く取る。


 不用意に踏み込まない。


 視線を切らさない。


(見ろ……動きを……)


 だが。


「遅いよ。」


 次の瞬間には、また崩されている。


 三戦、四戦、五戦目。


 回数を重ねる。


 だが――


 一度も、届かない。


 やがて。


 日が傾き、足も腕も上がらなくなる。


 それでも。


「……まだだ」


 立つ。


 何度でも。


「うん。実に良い気迫だね。」


 リヒトは、少し楽しそうに笑った。


 そして。


 最後の一戦。


 全員で踏み込む。


 だが。


 結果は――


 同じだった。


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