6話 冒険者に必要なものとは 前編
冒険者協会の2階にある、【調査室】と書いてある部屋に、受付嬢と江藤、白石、朝倉がいた
受付嬢が「椅子に座ってください」と言い、3人は、椅子に座る
「では、今から、皆さんの戸籍登録を担当させていただきます。メモリアと申します。」
「あなたたちは、勇者召喚によって、選ばれた人達ということですので、住居はないということになります。その場合、ギルドに入ってもらい、ギルドが貸してくれる部屋に住むことになります。」
引き出しから、書類を3枚取り出し、机の上に置く。
「これは、戸籍を作るうえで必要な書類になります。
まず、名前と年齢を書いて頂き、その下に住所を書いて頂きますが、住居はないので、飛ばして頂いて、次の欄に、自分の得意な事または、自分の持っているスキルを書いてください。スキルについては、書きたくない人は、書かなくても大丈夫です。」
「そして、最後の欄に自分がなりたいジョブを書いて頂きます。ジョブの例はこの上を見て頂いて決めてください。」
その紙には、右の欄には剣士があり、大剣、双剣、槍、短剣、片手剣、双刃刀、薙刀、刀、などがあり、その下に、狩人、重戦士、聖騎士、拳闘家
左の欄に魔法使い、錬金術士、白魔術士、黒魔術士、召喚士、テイマー
そしてその下に生産職と書いており、商人、薬師、錬金術師、裁縫師、鍛冶職人、杖職人
などが表記されている
白石結菜が、あの、とメモリアに声をかける
「なんでしょうか?」
「なぜ、錬金術士が2つあるんですか?」
「生産職の錬金術の場合、ポーションや、魔石などを作り、売り、それを生計を立てているのが、生産職の錬金術師で
魔法使いの欄にある錬金術は、その場で錬金、もしくは錬金したものを相手にぶつけ、弱体化や、攻撃を行う人の個を指しています。」
白石結菜はそれを聞き、なるほどと頷く
「ちなみに」、とメモリアは言い、
「白魔術士は回復や、防御魔法をメインに、黒魔術士は相手を弱体化するのをメインに、戦います。」
「召喚士ですが、魔物を召喚できますが、テイムするのではなく、戦い従わせるる事もあります。
出てくる魔物は、個人差があり、魔力量や、人の良さはまったく関係がありません。
運の良さで決まり、所持する魔物も、魔力量によって個人差が変わります。」
「テイマーですが、これは、召喚するのではなく、自分でテイムしたい魔物を見つけて、
好物をあげるか、戦い従わせるか、シンパシーを感じて、意気投合するかの3つになります。」
と、メモリアは補足したが、3人はより悩んでしまい、決まるのに数時間が経過してしまった。しかし、メモリアは、初心者とは良いですね。と微笑んだ
数時間が経ち、メモリアは「そろそろ決まりましたか?」と聞き、3人は、「決まりました」と声をそろえて言う
「私は、扱うのが難しそうだけど、手数が多そうだから、剣士の双刃刀にします!」
と江藤菊理が言い
「私は、後ろで、支援したほうが個人的には合ってるから、錬金術士にします」
白石結菜は、落ち着いたようにいう
「僕は、えっと、仲間と一緒に冒険していたいというか、仲間と一緒にいたいから、テイマーにします。
召喚士にしようと思ったけど、僕は戦えないと思うから」
と、少し焦り気味になりながら、朝倉瞬が言う
メモリアは、
「それでいいんですよ。結局は、死なないのが一番ですから。」と朝倉を安心させるように、優しく言った。
「では続きは明日にしましょうか。もう日が暮れかけていますし、宿は宰相さんが取ってあるので、宰相さんと一緒に、宿に泊まって休んでから、また明日来てください。」
待っていますから。と言い、3人は、「ありがとうございます。」と言い、1回に戻った。
一階には、まだ人だかりはあるものの、昼に比べればだいぶん人は少なくなっている。
3人は、一番目立たない席に、本を読んでいるメントリア宰相を見つけた。
メントリア宰相は、こちらの視線に気づいたのか、本を閉じ、顔をこちらに向け、席を外し、こちらに来た。
「皆さん戸籍登録は、済んだでしょうか?」
「はい。終わりました。ですが、明日また来てください。と言われました。」
「なるほど、恐らく、冒険者の講習を受けるのでしょう。そうなると、早朝に起きることになりますが、皆さん、大丈夫でしょうか?」
「私は大丈夫です!」
「私も」「ぼっ僕も!」
「了解いたしました。では、宿に向かいましょう。」
街道を歩き、朝倉瞬が宰相に
「メントリアさんは、どんな戦いをするんですか?」と聞いた。
「私ですか?私は、魔法剣士ですかね。今は、魔法を使うことは少なく、王様の護衛としても、着任しております。」
江藤菊理は、首を傾げ
「あれ?でも、メモリアさんが渡してくれたジョブが書いている紙には、魔法剣士なんて書いてなかったよ?」
「それは、鍛えたジョブは、進化するんです。一般的な例で言うと、剣士から、狂戦士、魔法使いから、賢者、賢者から大賢者、白魔術師から聖魔術師と進化していきます。」
「私は、剣と魔法をある程度、極めていたので、魔法剣士に進化しました。」
「進化の種類には何種類もあります。それも数え切れないほどに。専門家も、『まだ知らない進化先もあるだろうと』こぼすほどには。」
「魔法使いだからといって、賢者に進化するわけではありません。使い手の技術や、在り方によって進化が決まる。というのが冒険者協会での、意見です。」
そう話していくと、メントリア宰相は、目の前に、【癒しの館】という看板が見え、足を止めた。
「さあ、そう話しているうちに、目的地に着きましたよ。今日は、ここ【癒しの館】に止まります。」
4人は、癒しの館に入っていき、カランカランと、鈴が鳴り、店番であろう男性が「いらっしゃいませ。ようこそ癒しの館へ」
と挨拶をした。
何故か、挨拶をしてきた男性を見ると、メントリア宰相以外の三人は、固まってしまった。
メントリア宰相は、呆れたのか、ため息をつき
「何故、あなたがここにいるのですか?」
と店番の男性、もとい、イシス・レインに質問した。
「いや何、やる意味があるかわからん会議が終わったから、そのへんブラブラしてたら、店主に、今日は一人だから、店番を頼まれて、店番しているわけだ」
「確か、看板娘がいたはずでは?」
レイは、その答えにしばらく沈黙したあと
「…………失恋だとよ」と呆れたように零した。
メントリア宰相も苦笑しながら「なるほど。」と頷いた
「おい、お前さんらも、いつまで固まっているつもりだ?もう夜になっちまうから、早く泊まりな」
3人は、我に返り、『なぜここにいるのか、王様に呼ばれた人が店番をしているのか』
聞きたいことはあるが、聞いたら負けだろうと、3人の考えは一致し、部屋の鍵をもらい、それぞれ部屋に入っていった。
「宰相はどうする。」
「私は一度、王室に戻り、今日のことを報告します。」
「そうかい。いや〜生粋の仕事人だね〜」
「あの人が、仕事がまったくできませんからね。私があの人の分まで働かないといけませんので。」
「本来は、よそから否定食らう王様なんだが、目利きと話術と、頭と人望は、よくわからんほど高いからな。その代わり、書類仕事が国一番下手になっているんだが」
「ええ。だから、やめさせようにも、やめさせられませんから。私がさせません。では、私はこれで」
メントリア宰相は、お辞儀をして宿を後にし、王室に戻っていった。




