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54話 第三クォーター開始! ヴェルフェ秘密兵器炸裂!


『ハーフタイム終了しまして、試合はついに後半戦に突入しました!』


 入場口からアスタリーナチームが姿を現し、観客からの歓声を全身に受けながら進む。


『キャプテンのアスタリーナをはじめ、全員やる気満々です! 対してヴェルフェチームは――』


 アスタリーナ含め、観客全員が意気消沈しながら出てくるであろうヴェルフェチームの登場を待っていた。

 程なくして反対側の入場口から姿を見せる。キャプテンであるヴェルフェを先頭にして全員が闘志を(みなぎ)らせながら入場した。


『ヴェルフェチームも闘志満々のようです! これは面白いことになってきそうだー!』

「……逃げずにやってきましたわね。褒めてさしあげますわ」


 両チームともにベンチで円陣を組む。


「後半戦もあたくしたちのペースで行きますわよ! 目指すは勝利のみですわ!」


 キャプテンの言葉にチーム全員がおう!と力強く応じ、「アスタリーナチームファイオーッ!」と締めくくる。

 一方、ヴェルフェチームのほうは――――


「みんな、ここが正念場だ。作戦通りにやれば絶対に勝てる」

 

 全員で肩に手を回して円陣を組みながら真壁が言う。そして全員がこくりと頷いた。


「反撃開始だ! ヴェルフェチームファイオーッ!」

「ヴェルフェチームファイオーッ! ファイファイッ!」


 真壁の掛け声と同時に全員が力強く掛け声を発した。


『アスタリーナチームはヘカトンケイルのマーニャ選手をベンチに残して出場します! 対するヴェルフェチームは――』


「頼んだぞ。いいんちょ」

「ええ、まかせて」


 長い黒髪を後ろでひとつにまとめたスカーレットがコートへと進む。


『おおーっと! ここにきて学級委員長のスカーレット選手が初登場です!』


「ヴェルフェ」


 真壁が呼びとめる。


「む、なんじゃ?」


 ヴェルフェの前に真壁がかがみ込む。


「特訓してきた秘密兵器を使うときだ」

「秘密兵器というと……()()じゃな!」


 こくりと頷き、「頼んだぞ」と両肩に手を置く。


「うむ。わしにまかせよ!」


 ヴェルフェがコートに入り、ポジションについて全員に目配せを。


「みんな! 気を引き締めていくぞ!」


 ヴィクトリア、テン、スカーレット、ティアが「おう!」と応じる。

 審判からボールを受け取ったティアがドリブルしながらフロントコートを目指す。

 やはりここでアラクネのラウラが行く手を阻む。


「行かせないよ!」


コイツの弱点は確か――


『ラウラセンシュハ ()()ノモンスターデス ヨッテ――』


――見た目のわりに横への動きは遅い!


 臆することなくラウラの横をすり抜けた。


「しまった!」

「あたしに任せな!」


 次の関門はサイクロプスのクロエだ。巨体を壁にして立ちはだかる。


「ティア、こっちだヨ!」


 考えるまでもなくテンにパスを――――。

 クロエの単眼がテンに狙いをつける。だが、テンはボールを持っていない。


「!? フェイントか!」


 気づいた時にはすでにティアはすり抜けてゴール目指していた。


「クリスの言うとおり、単眼だと視野が狭いんだな!」


 ベンチで真壁がクリスを見ながら言う。


「くっ! ビジーちゃんは何をしてますの!?」


 だが、当の透明人間はヴィクトリア、ヴェルフェ、スカーレットによってブロックされている。

 顔は見えなくとも焦っている様子が丸わかりだ。


「ッ! ゴラミー! 防いでおしまい!」


 ティアの前にゴーレムのゴラミーが城砦(じょうさい)のように立ちはだかる。


「ゴルルルッ」


――――コイツの弱点は動きが遅い!


 城砦を前にしてティアは右へとパスした。ゴーレムがそのほうへ目をやった時にはテンはすでにシュートを決めていた。

 正確無比なシュートで放たれたボールはそのままゴールポストへ吸い込まれるように――


『テン選手スリーポイントを決めました! 3点獲得ですっ!』


 ヴェルフェ∶10−36∶アスタリーナ


 観客席からおおっとどよめきが沸き起こった。


「よし! いけるぞ! ディフェンスにまわれ!」


 真壁がぱんぱんと手を叩きながら。


「まぐれは二度は続きませんわよ!」


 アスタリーナがドリブルしながら反撃に出る。すぐさまヴィクトリア、テンのふたりが立ちはだかった。

 ドリブルしながら誰にパスを渡そうかとあたりを見回すと、ビシーが視界に入った。


「先輩こっちです!」


 アスタリーナは彼女にパスしようとボールを手に――


「え?」

 

 ボールが消えたのだ。すぐにボールの行方を追うとボールはヴェルフェの手にあった。


『おおーっ! ヴェルフェ選手いつの間にかボールを奪っていました!』

「しまった! 完全にノーマークでしたわ!」

「よっしゃ! スティール成功だ!」


 真壁がぐっと拳を握りながら。

 低身長を活かしてボールを奪ったヴェルフェはすぐさまスカーレットにパスを。


「頼むぞ!」

「まかせてください!」


 ドリブルするスカーレットの前にラウラとクロエが壁のように阻む。


「さっきのようにはいかないよ!」

「そのボールをよこしな!」


 スカーレットは素早く左右を見回す。目の前のふたり以外に誰もいないことを確認して頷く。

 次にボールをクロエの両足を抜けるようにバウンドさせた。


「バカめ! この鉄壁を越えられるもんか!」


 腕を伸ばして阻もうとしたとき――――


 いきなりスカーレットの姿が消えた。いや、コウモリに変化したのだ。

 十数匹のコウモリに変化したスカーレットはクロエの股を抜け、ふたたび人の姿へと戻るとすかさずドリブルしてゴールを目指す。


「審判! あれはダブルドリブルじゃありませんの!?」

 

 だが、ホイッスルは鳴らなかった。そのあいだもスカーレットはジャンプしてシュートを決めようとするところだ。


「ゴルルルーーッッ」


 ゴラミーが石造りの手を伸ばしてハンズアップを。だが、スカーレットのシュートする手は止めない。

 ゴラミーが腕を振ってボールを叩こうとした瞬間、()()()()()


「ゴルッ!?」


 見るとスカーレットの片腕は消え、代わりにボールを掴んたコウモリがゴラミーの頭上で羽ばたく。

 

「ゴラミー! なにをボサッとしてますの!? 防ぎなさい!」

「ゴルルルーーッッ!!」

 

 だが、動きの遅いゴーレムの腕では敏捷に動き回るコウモリを捕まえられない。

 ゴールポストの真上までくるとボールを離してシュートを決めた。


『決めた――――! スカーレット選手が決めました! 怒涛の勢いで得点を獲得していきます!』


 ヴェルフェ∶12−36∶アスタリーナ

 

「よっしゃ! いいんちょの変則レイアップシュートだ!」


 観客席からも「いいんちょ! いいんちょ!」のコールだ。


「まったく……今回ばかりはいいんちょと呼ぶのを許可しますわ。さあディフェンス一本よ!」


 スカーレットが人差し指をぴんと立て、チーム全員が同時に「おう!」と応えた。


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