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52話 波乱の第二クォーター開始!


『さあ第二クォーター開始です! ボールはヴェルフェチーム! アスタリーナチーム選手交代しまして、アスタリーナ選手と入れ違いにクロエ選手がコートに入りました!』


 三メートルの高身長を誇るサイクロプスのクロエが単眼をぎらりと輝かせる。

 ただでさえゴーレムもいるのに三メートル級のふたりが立つとまるで塔のようだ。

 ヴェルフェチームはテンを除いて全員がその圧倒感に思わずごくりと唾を飲む。


「おーっほっほっほ。圧倒されている姿を見ながらのお茶は美味しいですわね」


 ベンチに座るアスタリーナがカップを傾けながら言う。


「せいぜい頑張って――」


 先を続けようとしたところを歓声によってかき消された。


「あら? さっそく点が入りましたのね。まあ、あたくしのチームなら当然……」

『やりました! テン選手見事なスリーポイントシュートを決めました! ヴェルフェチーム初の得点です! これで21対3ですっ!』


 ぶっとお茶を吹き出す。


「なんですって!? いきなり3点も取られるなんて……!」

「よっしゃ! スリーポイントだ!」


 真壁がベンチから立ち上がりながらガッツポーズを。


「すごいよテン! あの距離から決めるなんて!」

「さすがです!」

「距離と弾道を割り出せば誰でもできるヨ」


 仲間たちからハイタッチを受ける。アスタリーナの視線に気づいたのか、テンが彼女のほうを向いてサムズアップを。


「ぐぬぬぬ……皆さま! あの憎ったらしいキョンシーを取り囲んでおしまいっ!」

 

 オフェンスに回ったアスタリーナチームのうち、ゴラミー、ラウラとマーニャはすぐさまテンを囲むようにする。


「くそ! マークされた!」


 真壁が歯ぎしりする間、クロエがドリブルしながらフロントコートへと向かう。

 ヴィクトリアとエリザが阻もうとするが、巨人ゆえの膂力(りょりょく)と体格をもって軽々とジャンプを――

 そしてそのまま豪快にスラムダンクを決めた。ゴールポストがぐらぐら揺れるなかモナが興奮気味に実況する。


『決まった――――!! スラムダンクだ! 追撃を許しません!』


 ヴェルフェ∶3−23∶アスタリーナ


「くっ! 肝心のテンが囲まれちゃ得点が稼げない!」


 ティアがドリブルしながら悪態をつく。スリーポイントシューターのテンが囲まれてしまっては同点に追いつくことさえ難しいだろう。


「こうなったらあたしだけで突破する!」

 

 フロントコートへと入ったティアがクロエのディフェンスを猫特有の柔軟さでかわし、ゴールポストへと向かう。これまた猫特有の瞬発力で高いジャンプ力を見せつけた。

 

「イケる……!」


 ゴールポストはもう目の前だ。あとはボールを叩き込むだけでいい。


「くらえ! スラムダン――」


 だが、ゴールポストに入れる直前で何かにぶつかった。


「ッ!?」

 

 そのままゴールポスト下に倒れる。すかさず審判がホイッスルを。


「オフェンスチャージング! ティア選手!」

「はあっ!?」


 ティアだけでなくベンチに座る真壁とスカーレット、ヴェルフェも思わず立ち上がる。


「どーいうことだよ!? 審判!」

「いったい何が起きたんじゃ!?」

「いまのは明らかにファウルじゃないですわよ!」


 四人の抗議に眼球だけのモンスターの審判がゴールポスト下を指さす。

 見るとアスタリーナチームのユニフォームが置かれていた。いや透明人間のビジー選手が倒れている。

 彼女のまわりをチームが駆けつける。


「ビジー選手にぶつかったのでチャージングとなります」

「透明人間だから見えるわけないだろ!」


 ぎゃあぎゃあと抗議していると真壁が審判のもとへと。


「審判、今のはディスクオリファイングファウルじゃないのか?」


 悪質なファウルの可能性を提言するが、審判の判定は(くつがえ)らなかった。

 一方、ビジーはチームメンバーに助け起こされているところだ。


「よく止めたよ! ナイスプロック!」

「大丈夫かい?」

「はい……大丈夫です。やれます!」


 その様子が気に入らないティアは舌打ちをくれる。


「よく言うよ。透明なのをいいことにしてさ」


 ふんとそっぽを向くティアに真壁が落ち着けと肩に手をやる。


「落ち着くんだ。相手のペースに乗せられるな。それと悪口を言っちゃダメだ。最悪、退場になるぞ」

「……わかったよ」


 ふたたびホイッスルが鳴った。またファウルを取られたのかとどきりとするが、ただの選手交代だ。

 アスタリーナがビジーに歩み寄る。


「ここからはあたくしが出ますわ。あなたはすこし休んでいなさい」

「で、でも……」


 ぽんとビジーの肩に手が置かれた。


「あなたはよくやりましたわよ。ここからはあたくしに任せなさい」


 ぱちりとウインクをひとつ。


「はい……お願いします!」


 ビジーがぺこりと頭を下げるとコート外へと出る。


「さあ皆さま! 行きますわよ!」


 チーム全員がおう!と応え、反撃へと出た。

 ビジーが抜けたあともアスタリーナチームの勢いは衰えることを知らず、破竹の勢いで点数を稼いでいく。

 数分後、ピーッとホイッスルが鳴り、無情にも第二クォーターの終了を告げた――


 ヴェルフェ∶7−36∶アスタリーナ

 

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