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49話 決戦前日! それぞれの思い


 コンコンとドアをノックすると「どうぞ」と入室の許可が出たので真壁はドアを開けた。


「あ、真壁さん」

「よ、リリア。進捗はどうだ?」

「あと少しでできますよ」


 リリアの居室にて彼女は針を手にしながら裁縫をしているところだ。

 

「一着できました! これでどうでしょうか?」


 リリアが広げたのはバスケのユニフォームだ。赤地に黒文字で『ヴェルフェチーム』と描かれており、文字の周りを白線で囲ってある。

 そしてチーム名の下にはおなじみのパンデモニウム女学園の校章をバックにして星が円状に八つ並ぶ。

 リリアいわく、真壁を含めたチーム一同を表しているのだそうな。


「すげーいいじゃん! 俺のいた世界のユニフォームと変わらないぞ!」

「うふふ。ありがとうございます!」


 裁縫が得意なサキュバスがにっこりと微笑む。


「でも私たちの分だけでよかったのですか? アスタリーナチームの皆さんの分も作らないと……」

「あー……そのことなんだが、彼女から手助けは無用だってさ。どっちにしてもチームメンバーが姿を現さないことには作れないしな」

「たしかに……でもなぜ姿を現さないのでしょう?」

 

 細い指を顎に当てながら首を傾げる。


「そこなんだよな。手のうちを明かしたくないってのもあるだろうけど、ここまで徹底的にやられるとなぁ……」

「ですね……でも私たちは必死に頑張ってきたんです! あさっての試合は絶対に勝ちますよ!」


 両手でむんっとガッツポーズを取りながら。

 

「頼もしいな! 頼りにしてるぞ!」

「はいっ!」


 ◇◆◇


「そこ、ずれてますわよ。もう少し傾けて!」


 会場となる体育館内ではスカーレットが生徒たちに指示しながら飾り付けを施していく。

 観客席の正面に位置する玉座は丁寧に掃除され、段差には絨毯が敷かれた。


「警備は厳重に。蟻の這い入る隙間もないようにするんだぞ!」


 風紀委員長であるエリザが監督を務めながら委員たちにテキパキと指示を下す。


「怪しい物がないか念入りにチェックするんだ。私はもう一度会場を見て回ってくる」

「……ずいぶんと念入りに見回りますのね」

「当日は魔王閣下がお見えになりますから。用心しておくに越したことはありません」


 それではとスカーレットに言い置くと、見回りへと出た。

 スカーレットは飾り付けを終えると頭上のシャンデリアを見上げる。次にコート全体を見回す。


「いよいよ明後日はここで試合を……」


 ごくりと固唾をのむ。


 ◇◆◇


 翌日。すなわち大会を明日に控えた日――。


「問題だ。ヘルドボールとは?」


 生徒会室にて真壁が黒板の前に立ちながら問う。真壁の前には生徒会一行とアスタリーナのほかに三匹のモンスターがノートを取っていた。

 三匹のモンスターの一匹が挙手を。イノシシに似たモンスターだ。


「両チームの選手がボールを保持していて、なおかつどちらのチームのボールでもない状態です」

「正解! それじゃその場合の進行は?」


 これには眼球に手足が生えたようなモンスターが答える。


「ボールをコートの中央に持っていき、そこからジャンプボールします」

「いいぞ! ではアウトオブバウンズとは?」


 最後のモンスターが挙手した。身体中に複数の目が付いたモンスターだ。


「ボールが外に出たり、ボールを持った選手が外に出てしまう反則です」


 模範的な回答に真壁がうんうんと頷く。三匹はいずれも公平を期すため、魔王城から派遣された審判員だ。現在ルールの確認を行なっているところである。


「よーし、ルールは把握してるようだな。今度は作戦を練るぞ!」

「それではあたくしは飛空艇に戻って作戦を練ってきますわ」

 

 ごめんあそばせと言い残すと、そのまま部屋を出た。


「相変わらずひとりだけか……ぜんぜんチームの姿見なかったな」

「うむ……ついに今日まで姿を現さんかったのぅ。ここまでくると不気味じゃな」

「まあ何があってもいいように作戦練るぞ! いよいよ明日は試合だ!」


 一行からおーっ!と声が上がる。


 ◇◆◇


「作戦はシンプルにいきますわ。それぞれ能力を駆使して攻め、防御のときは鉄壁の陣を敷きますの」


 飛空艇の居室にてアスタリーナがバスケットコートの図面に手を添えながら言う。


「いよいよ明日ですわよ! 当日は皆さま全力で叩き潰しておしまいなさい!」


 チーム一同が威勢よく「はい!」と答えた。


 ついに明日、雌雄を決するときが来る――――


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