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67話 ヴィクトリアよ、銃を取れ


 翌朝。

 フランケンシュタインの館の玄関にて柱時計がボーンボーンと時刻を告げる。

 玄関には旅支度を終えた真壁はじめ生徒会一行とクリスがヴィクトワールの前に並んで立つ。ヴィクターの姿はない。

 

「お世話になりましたですじゃ。本当に何から何まで」


 ヴェルフェが代表して礼を言う。


「道中気をつけてね」

「だいじょーぶだよ! かーちゃん」

 

 娘であるヴィクトリアがどんと胸を叩く。そこへ父のヴィクターが姿を現した。


「いやあ間に合ってよかった!」


 慌てて走ったらしく、額の汗をぬぐう。


「やっと完成したよ」

「もしかしてボクのピストル!?」


 ヴィクターがうむと頷く。目の下のクマが苦労を物語っていた。


「マカベくんの描いたピストルを再現するのに苦労してね……特に排莢と連射機構が……」

「さっさと渡しなさいっての」


 ヴィクトワールにはたかれたので説明を中断する。そして完成したピストルを手渡す。

 

「これがボクのピストル……」


 全体的に黒いそれは丸みを帯びたグリップをしており、中心は平らな鉄板で補強され、銃身が細く伸びていた。いずれにしても少女が扱うには武骨な拳銃だ。


「カッコいいな! 俺のリボルバーとはまた違った良さがあるな!」

「マカベくんの話ではグリップの中に弾丸を込めるそうだが、どうしても仕組みがわからなくてね……代わりにここから弾丸を込めるようにしたんだ」


 ヴィクターが指さしたのはトリガーの横にある部分だ。トリガーの上にある突起を押すよう言われたので押してみると、トリガー横の箱状の部分からマガジンがするりと落ちたので慌てて受け止める。

 確かに弾丸が数発装填されている。


「全部で十発撃てるよ」


 わああとヴィクトリアが破顔を。


「ありがとう! とーちゃん! それとイタルもありがとね!」

「そうそう! 忘れるところでした!」


 リリアがぱんと手を叩き、荷物から何かを取り出す。

 

「はい。ヴィクトリアさんのですよ」

「もしかしてこれガンベルト?」

「はいっ! ポーチが付いてるので弾丸を入れられるようになってるんです!」


 リリアからガンベルトを受け取って腰に巻く。バックルを閉め、ホルスターに拳銃を収めた。


「カッコいいな!」

「えへへ。でしょー!」


 くるくるとその場で回る。


「それとこれはテンさんのです」

謝謝(シエシエ)!」


 ライフルなのでホルスターはないが、代わりに弾薬を入れるポーチが付いていた。


「おお忘れるところだった。テンくんにはこれをあげよう」


 ヴィクターから受け取ったのは小箱だ。開けてみると小さな望遠鏡に似たものが収まっていた。


「スコープだよ。五倍率だから50メートル先のものがよく見えるはずだ」

「感謝するネ!」


 スコープを取り出してライフルのちょうど中心に位置するマウントに装着を。


「最後にクリスさんのがこれです」

「感謝します。リリア様」

 

 受け取ったのは弾帯だ。散弾銃の弾丸が入れられるよう、筒状の弾差しが等間隔で並ぶ。

 それをたすき掛けにして、散弾銃を肩に掛けた。


「準備が整ったようじゃし、そろそろ出発するぞ」

「じゃ、行ってくるね!」

「うむ。気を引き締めていくのだぞ」

「無事帰ってきたらたっぷりご馳走つくるからね!」


 発明家夫婦は手を振って旅へ向かう一行を見えなくなるまで見送る。


「……無事に帰ってくるんだぞ」

「心配はいらないよ。あたしたちの最高傑作とクリスが一緒だしね。それよりあんたはさっさと寝たほうがいいわよ」


 ぽんと夫の肩に手を置く。


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