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218.リアナさんと一緒に買い物 2

 リアナさんと一緒に買い物をしていて、リアナさんにはデザート系を担当してもらっている。

 彼女のレパートリーは電話でアップルパイの話をした時のように、知識は豊富だろうから安心して任せられる。リアナさんが購入した荷物は俺が預かって運んでいる中、彼女は俺に尋ねる。


「青年は何が食べたい?」

「え……? デザート、ですか?」


 翔太は荷物を持ちながら、リアナさんの提案に心の中で首を傾げる。

 ニートになってから……ちょっと甘い物は食べるようになったとは言っても、リアナさんには及ばない。女子のお菓子トークなんて、当時の俺はいじめられる前とかなるべく盗み聞かないようにしてたし。


「青年?」


 リアナさんが俺の顔をじっと両手を後ろに組んで覗き込む。

 いや、リアナさんの好きなスイーツ話は聞きたい!! けど、え?

 な、なんか親しい仲の人がしてくれる仕草じゃないか? これ!?

 俺は慌てて視線を逸らす。

 ちょっと赤くなってる顔を、リアナさんに不審がられないためだ。

 ちょっと、男がときめく姿とか横顔なんて、女性からしたら気持ち悪いかもしれないし……!

 親しき中にも礼儀ありだし、リアナさんにこんな顔見られて失望されるのも嫌だ!!


「青年、こっち見て」

「はい? ふぇ!?」 


 リアナさんは気が付けば、彼女の指が俺の両頬に触れていた。

 しかも、彼女のご尊顔が目の前現れる。


「り、リアナさん!?」

「人と話をする時は、顔を見るか、相手のネクタイやアクセサリーに視線を向ければいいだけよ……何か嫌だった?」

「へ!? え、え、えっと!! えっと!!」


 か、顔が近い!! 顔全体が熱を持って彼女の冷たい手が優しく感じられる。

 って……手が冷たい……? 


「リアナさん!」

「え? 何――――」


 俺は荷物を器用に抱えながら、リアナさんの両手を掴んだ。


「リアナさん、手が冷たいなら温めないと! 俺、ポケットに手袋持ってきたので使ってください!」

「いいえ、私は別に」

「リアナさんは女の子なんですから! 自分の体をもっと大事にしてあげてください!」

「――――――っ」


 リアナさんは顔を俯かせる。

 あれ? も、もしかしてお節介? で、でも女性が身体を冷やすのは身体によくないし……あ! リアナさんは生理とかじゃないかな!? でも直接女性に生理とかを口にするのはデリカシーないんだっけ!? え、えっと……あ、そうだとりあえずポケットから手袋を!!

 翔太は頭の中で思考を回す中、リアナがぽつりと言葉を零す。


「わ……わかったわ、その、だから……手を」

「へ?」


 リアナさんがか弱い声で囁いたのを聞き逃さなかった。

 あ、って俺リアナさんの手握ったままじゃんか!!


「……離してくれる?」

「あ、す、すみません!」


 俺は慌てて、リアナさんから両手を離して自分の上着のポケットから手袋を取り出す。


「リアナさん、これ俺のですけど使ってください」

「……いいの」

「はい! もちろんです」

「でも、青年の手も冷たいのではないの?」

「あー……っと、俺、熱がりでも寒がりでもないので、大丈夫です!」

「けど……」

「お気になさらず使ってください! あ、もちろん新品なので大丈夫ですよ」

「……そう、青年一つ貸してくれる?」

「え? いいですけど……?」


 リアナさんに言われるまま、俺は彼女に俺が持ってきた片方の手袋を彼女に渡す。

 彼女は俺の手袋を右手に付けるこっちに視線を向ける。


「青年、もう片方の手袋を自分の左手に付けて」

「え? で、でも」

「いいから」


 俺はリアナさんの言葉に従って、左手に手袋を付ける。

 すると彼女は両手を口元に当てて言った。


「……これなら、お互い寒くないわね」

「――――――それ、って」


 リアナさんのその表情に一瞬息を呑む。

 ほんのりと赤らめた頬は俺とのやり取りで染めているのか、それとも外の冷気でか。

 どっちにしても、目の前の彼女が可愛らしいことをしてくれて胸がときめいてしまう。


「…………さ、行きましょう。青年。まだ買い物は終わってないわ」

「あ、り、リアナさん! 待ってください!」


 なぜかリアナさんの方が先に進んで、俺は荷物を持ち直しながら彼女を追いかけた。

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