208.清掃員のサブ任務
翔太はモネーレの残滓を青鳥専用の掃除道具で路上を拭いていた。
冬になって雪が降っているのもあってか、中々寒い。
夏仕様も冬仕様もある青鳥の制服は正直ありがたい。
でも、やっぱり日本よりは北の方にあるドイツの空気は中々に寒かった。
ふわりと、雪が降ってくるのが見えて翔太は、今日も寒いな、と一言零す。
「だいじょうぶかい? シューちゃん」
「あ! はい、大丈夫ですプッツェンさん」
「ほれ、ココア飲む?」
「あ、ありがとうございます」
老年の男性であるプッツェンさんは、腰に手を当てながらいつも通りの穏やかな笑顔を俺に向ける。
素っとさりげなく、缶のホットココアを俺に差し出すので俺は素直に受け取った。
プッツェンさんはポケットから缶コーヒーを取り出して、俺に向かって缶を向ける。
俺はその意図をすぐに察し、缶と缶同士で乾杯した。
「シューちゃんはクリスマス誰かと一緒に過ごすのかい?」
「あ、はい」
「そうかい、若いうちに色々経験しておきなさい。後で後悔しないようにね」
「は、はい! 頑張ります」
翔太とプッツェンは互いにタブを開ける。
俺はプッツェンさんがくれたホットココアを、プッツェンさんが先に口にしてから飲んだ。
ふと、プッツェンさんは片手で掃除道具を持って、浮き出そうになった残滓を拭き取る。
たった一瞬だったので、俺はまた目を見開いてしまった。
「それじゃあ、掃除お互い頑張ろうねぇ」
「はい!」
やっぱり、プッツェンさんベテランだよなぁ。
たった一瞬の残滓も見逃さない、仕事人……!! 憧れてしまう。
翔太はプッチェンさんに負けないよう、今日のサブ任務をしっかりしようと固く誓うのだった。




