第4話 デジはギャンブルから逃げない
――獣王グルガを倒した翌日。
「デジ、私とギャンブルをしなさい」
昨夜、グルガ&リゼル戦での疲れを酒と一緒に流したばかり。
若干残る酒に頭を痛めながらドアを開けたらユカが立ち塞がり、
速攻でこの言葉を吐いてきた。
決意が滲む瞳からは、貴方がギャンブルから逃げるわけないよね?
という言葉が溢れている。
「いや、俺は何時いかなる時でもギャンブルは受けるけどさ。なんでまた急に」
「いいから来なさい」
それだけ吐くと俺の手を引き、街の広場まで連れていかれた。
なんだか、いい予感と悪い予感がする。
「やっと起きたのね!デジ」
「僕もまだ寝たかったんだけど、ミカンに起こされたんだよね」
広場に到着するとミカンとシャインも揃っていた。
どうやら俺を待っていたみたいだ。
「で、何で急にギャンブルなんだよ?お前ら嫌ってただろ、ギャンブル」
「……だからよ」
俺の瞳を真っすぐに見据えてくる。どうやら相当に決心を固めてきたようだ。
「よくわからんが、相手してやろう」
「……出しなさい、貴方の能力」
おいおい、能力発動せずにギャンブルするつもりだったのにここまで本気とは。
今の俺では1日1回しか発動できない「ギャンブラー」としての能力。
それを今使う……いやいや今の俺に挑もうとする人間なんてほぼいない現状、
これは願ってもない展開だろ。
「じゃあ、たまにはお前らも入れておいてやる」
そう言って、俺はユカだけでなくシャインとミカンも結界内に入るよう調整し
地面に手を付ける。
「……発動、賭博開帳」
手を置いた地面からテーブルが浮き出てくる。
その上昇と共に俺達の周りを円形の結界が囲んでいく。
「おお、これがいつも見てる結界の中か」
シャインが目を輝かせて結界内部を見渡している。
そういえばコイツを入れたの初めてだったかも。
何回ギャンブルに誘っても「デジに勝てるわけないじゃん」って
相手にされなかったからな、こういう形で入れて嬉しいんだろう。
「パラッパ~、今回はお二人がギャンブルの同意を既にしているので、
私も最初からいますよ~」
相変わらずのジャジ子を他所に俺はユカに本題を聞き出す。
「いい加減教えろよ、俺とギャンブルをしたい理由があるんだろ?」
「……昨日改めて理解した、貴方のこの能力は危険」
「いやいや、そのおかげでシャインも無事だったんだぞ?」
「……1度死ぬ……それって無事の一言で済む話なの?」
だから念を押して黙っておけと言ったのに……
改めて、シャインを睨みつけると
手を前にしてゴメンと俺に謝ってきた。
「……だからこのギャンブルで、貴方には能力を賭けてもらう!
私が勝ったら、私の許可なしで能力発動できないという制約を付加させてもらうわ」
……なるほどね。だからこそ、能力なしのギャンブルでは意味ないわけか。
「で、俺が勝った場合は?」
「……私が差し出せるものなら何でも出すわ」
うら若き乙女がそんなこと言って大丈夫なのか?
まあ、別にほしいものなんてないけど
……ただ、挑まれたギャンブルから逃げるわけにはいかねえよなあ。
「OK、じゃあジャジ子頼むわ」
俺がジャジ子の方へ指を鳴らすと、
周りを見渡し何かを考えているようだ。
うん、面白そうなギャンブルが出てきそうだな。
「最近なかった戦場以外のギャンブル!
そして、結界にいるミカンさんとシャインさん……閃きましたよ!
名付けて『ミカンが履いているパンツは何色だ!!』」
テーブル横で腕を組みつつ見守っていたミカンが完全に固まっている。
一瞬の沈黙後。
「ななな、なんで私!いやそれよりも何なのよ!このギャンブルは!!」
そりゃ怒るだろ、これ。
「……確かに説明不足でした。改めて詳細をお伝えしますね」
「いや、そうじゃなくて!!」
顔を真っ赤にしているミカンを置いて、
ジャジ子はルールを説明していく。
・基本ルール:今、ミカンが履いているパンツの色を当てる
・先に当てた方の勝ちとなるが
所定の紙に予想する色を書き、同時にオープンする。
どちらかが当てるまで何回でも続けるが同じ回で共に正解の場合引き分けとなる
・予想のオープンは3分ごとに行う。
一度紙に書いた回答は次のターンまで変更できない。
また所定の紙に何も書いていない、
もしくはオープンしなかった場合、特に罰則はない。
・ミカンから直接聞くことは出来ない
・ユカが勝った場合、デジは能力の行使にユカの許諾が必要となる。
デジが勝った場合、ユカが差し出せるものなら何でも一つ受け取ることができる。
引き分けは結界発動前と同じ状態となる。
なんつ~面白いギャンブルを提案してくるんだコイツは。
ミカンはずっと止めなさいと叫んでいるが、
ユカの奴は恐らく喜んでいるぞ。
「……ミカン、我慢して。これ私が絶対に勝てる勝負だから」
ほら見ろ、ギャンブルに慣れていない奴は
自分が勝てると確信した時、喜ぶんだよ。
「では、早速3分間のシンキングタイムと行きましょうか!
よ~く考えてくださいね!」
ジャジ子が楽しそうに告げると空中へ3分のタイマーが浮かんでいく。




