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第16話 進む旅路


あれから三日経過した。


ユカの回復を待ってから

俺達は次の街へ馬車で向かっていた。


優雅な旅路と言いたいところだが

目の前で腕立て伏せをしているシャインが鬱陶しくて仕方がない。


「おいシャイン、馬車内で筋トレは止めろ」

「フッ、フッ、ダメだ。僕はまた何も出来なかった」


いい加減にしてほしい。

モーグとの闘いからずっとこの調子だ。

結界を壊そうとしていたことは後からミカンに聞いた。

どうやら俺のスキルは、

まだシャインの力を上回っているらしい。


「フッ、フッ、僕がモーグを倒せていればデジとユカは危険な目に遭わずに済んだ」


もういいって、何十回聞かされてんだ?

最初は慰めていたミカンとユカも諦めたように

外の様子を眺めている。


まあいい。俺もここ最近ハードなギャンブルの連続で

疲れが溜まっている。


勇者一行ということでこの馬車も簡単に手配できたわけだが、

俺達の旅路は魔王城へと繋がっている。

いずれ今みたいにのんびりと旅を続けることは不可能になるだろう。


俺とシャインが出会った首都から始まったこの旅路。

もう5つほどの街を経由している。


魔王城への道のりは普通に世界地図に載っていた。

舐めてんのか?と最初は思ったが、

あの魔王の奴のことだ、逆に魔王城まで来れる人間を歓迎するだろう。


俺はデイパックから日記を取り出した。

最近は旅の記録だけでなく、

様々なギャンブルや競技のルールを書き留めている。

今書いているのは麻雀だ。

牌もないこの世界だが、いつか流行らせたい気持ちがある。

そしてそれは麻雀だけに限らない。

だからこそ知らない人にもルールが伝わりやすいように

今から書き留めている。


「ねえユカ、次の街ってどんなところ?」


流石に退屈すぎたのか、ミカンがユカへと質問を投げかける。

俺も若干気になる。


「……地図によるとグルテンマーデという街。

 多分、普通の街」


「そっか~、新しい街って毎回ワクワクするよね」


「うん、新しい服ほしいかも」


そう言い、ユカが俺を睨みつけてきた。

何故だ。


……そうか、パンツを一枚無くしているからか。

いや、それはギャンブルに負けたお前が悪い。


そういえばグルガの死体を結局確認出来なかったな。

あの大喰いのモーグに邪魔されたせいだ。

そして、そのモーグの死体も放置したまま。

 

……少し気になる。

 

ミカンが「同じ街にずっといるから十六破将がドンドン来るのよ!」

と怒ったから仕方なく次の街へ向かっているわけだが。

確かに一理あるし、俺にはこの旅を急がないといけない理由もある。

そこを天秤にかけて旅を進めることにした。


未だ汗だくで筋トレを続けるシャインを尻目に

外を見ると街が見えてくる。


「あ!あれがグルテンマーデね!」


ミカンのトーンが上がっている。

俺も正直楽しみだ。


「シャイン、そろそろ街に着くぞ。勇者様として身だしなみを整えておけ」

「フッ、フッ、フッ」


ダメだコイツ。

俺は知らんぞ、忠告はしてやった。


数分後、俺達は無事にグルテンマーデへと辿り着いた。


そして、到着と同時に謎の光の柱を目撃した。


「……なんだアレ?」

「まさかこの街に召喚士様が!?」

「チッ……腹黒女か」

「……」


この時の俺は知らなかった。その光が数多の物語を生み出す存在だと。


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