第14話 負けたギャンブルの行方
癒しの光が俺の体を包んでいく。
裂けていた腹が修復され、体内に散らばっていた猛毒が浄化されていく。
恐らく命を賭けていなければ、
ここまで回復することはなかっただろう。
「ふぅ、9割死んでたな俺」
「デジ……本当によかった」
シャインが俺の肩に手を掛けて安堵の声を漏らした。
こいつ、泣いてただろ。目が凄いことになってるぞ。
「よく生きてましたねデジさん。
あっ流石十六破将、私が直接いかないとまだ死んでないですね。
……賭けたものは必ず回収しますよ」
ジャジ子がそう言うと倒れ込んだモーグへ近寄り、
手に持った大袈裟なまでにデカい鎌を振り下ろす。
「えい」
鎌はモーグをすり抜けるが、
身体が一瞬ビクンと動くと再び静止した。
何度か見てきた光景だ、
命を賭けて負けると魂を刈り取られたように死を迎える羽目になる。
満足気な笑顔を浮かべたジャジ子が
結界と共に消えていく。
……俺はこのギャンブルにある意味で負けたと言える。
そう、今回の勝利はミカンに介抱されている彼女のものだ。
「ユカ、ありがとう」
ミカンに肩を借りているユカが俺の言葉を飲み込むと
意味深な微笑みで返事をしてきた。
「……1勝1敗ね」
「はは、そうなるな」
そうだ、俺はこのギャンブル、ユカに負けたようなもんだ。
……彼女がいなかったら俺は死んでいた。
ユカが拘束魔法を発動して耐えてくれたから
俺は今、生き延びている。
気づくと自然と笑顔が零れていた。
こんな一面も俺にあったのかと
嬉しさ9割と悔しさ1割が押し寄せてくる。
「そうだ、ユカのパンツ取り戻しておかないとな」
「……そう、肌身離さず持ってなさい」
コイツ、俺が何かしたらまた拘束魔法発動するつもりだ。
だが戦利品であり、俺の命を救ってくれたアイテム。
大切に保管させていただこう。
俺はモーグの死体へ近づくと、その手に持つパンツを取り上げた。
「大喰いのモーグ、お前は合格だ。強敵だったよ」
……そして、ユカ。お前も合格だ。




