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初めての「あの日」

 「ん〜!……あれ?」


翌日、長い時間ぐっすり寝て起きたのに体の調子が悪い。


「なんかお腹が痛い……」


まぁトイレに行けば治るだろうと思いお花を摘んできたが治らない。


「うぅ……鬼から変な病気もらったのかな?ヒールはどうだろう?……ダメだ治らない」


鬼が時間差で痛みが来る攻撃をしてきたのかとも考えたが、どうやら違うらしい。うぅ、ずっと治らないのかと思うとイライラしてきた。


「今日仕事できるのかな……」


今日は丸一日仕事をして、その際にもし犯人である日本人の青年がやってきたら捕まえるつもりなのだが、体が不調ならそもそも仕事ができないかもしれない。


ガチャ


「おはようございまーす!あ、ムクロンさんちゃんと起きてたんですね、珍しい」


その時、エオルが開店の準備をしに店を訪れて、奥にある俺の部屋までやってきた。目が合ったが、俺がテーブルにもたれかかっているのを見て驚いていた。


「あれ?ムクロンさん、つらそうな表情を浮かべていますけどどうしたんですか?」

「おはよー。いや、実はさ」


エオルはエイダが倒れた時に、「家に薬がある」と言っていたので症状を言えば取りに行ってくれるかもしれない。


「今朝からお腹がずっと痛くて、あと頭痛もあるし気持ち悪いんだけどこれって何でだかわかる?」


俺が自分の体に起きている事を伝えると、エオルは少し複雑そうな顔をして、


「あー…………」


とだけ呟いた。原因には察しが付いているようだが言うのを躊躇っているような気がする。


「わかるなら隠さずに教えて欲しいんだけど」

「ムクロンさん。……それ、生理です」

「え?」


「生理」って、女性に月一でやってくる「あの日」の事か!?


「え……俺って産めるの?」

「来たって事はそうなります」


生理が来たと言う事は出産もできるって事になる……。これで、俺の体が完全に女性と同じ機能がある事が証明されてしまった。


「俺は今回が初めてだからエオル助けて!何をすればいいのこれ!?」


恐らく経験者であろうエオルに対して必死に助けを求める。だって何すればいいか全然わからないし!!!!


「まずは、ナプキンを付けてください。漏れたら大変なので……」

「漏れるって?」

「血です」

「血!?ど、どっから出るんだ!?」

「それは……」


ごにょごにょ、とエオルが俺に小声で耳打ちする。


「そ、そんな所から!?出たら絶対垂れてくるじゃん!」


床を汚すと後で掃除をするのが面倒だと思い、急いでその場でパンツを脱いでナプキンを装着した。歯ブラシと共に配布されたアイテムの中にあらかじめ準備されていたし、そもそもこのファンタジーの世界にも存在してて良かった。これがなきゃどうなっていた事か。


「ううっ、違和感があって慣れない」

「あとは薬ですね。今から取ってきます!」


そうして、エオルは俺の為に急いで家に戻って薬を探しに行ってくれた。薬を飲めば多少は楽になって仕事もできるようになると思うし、今のうちに朝食を食べてしまおう。気持ち悪いし食欲もそんなにないけど、食べないよりはマシだろう。

朝食のパンを完食し、店内に行きエオルの分も開店の準備をしていると再び玄関の扉が開いた。


「おまたせしました!はい、飲んでください!」

「ありがとうエオル様……!いただきます!」


前の世界と同じで粒状の薬だった為、口に入れてから水で流し込む。無事に飲み込めたので早速体が少しは楽になった気がしたが、そんなに早く効果が出るわけが無いのでただの思い込みだろう。


「はぁ……。生理ってこんなにキツかったのか」


男性だった頃は一度も体験していなかった為、「生理はつらい物」というフワッとしたイメージしか持っていなかったが、実際には想像よりも何倍も大変だった。


「世の女性はスゴいよ……いやホントに。これが月一であるのに日常生活や部活にテストが待っているなんてヤバすぎる」


俺は、自分を育ててきてくれた母親やクラスメイトの女子……いや、全ての女性に対して深い尊敬の念を示した。


「ムクロンさん。もしつらかったら仕事を休んでも大丈夫ですよ?」

「だ、大丈夫だ。仕事はできる。それに、俺には泥棒をしている日本人の青年と話すという使命があるしな」


もし彼が偶然、この店にやってきたら何とかしてマオウグンかどうかを聞いて会話しなきゃならないのだが、あいにく今は体が絶好調では無い。会話はしたいけれど、できれば生理中は来ないで欲しい!


「それで……これって何日で終わるの?」

「三日間から七日間ほど続きます」

「えっ……ウソだろ」


二日目というワードはよく聞いていたのでもっと短いのかと思っていたが、そんなに長い日数続くのか!?


「はぁー。この間だけはマオウグンが攻めてきたり事件を起こすのは勘弁して欲しいな。この状態で剣や魔法を使って戦いを繰り広げたくない」

「事件が起きない事が一番ですが、非常事態があれば行って欲しいですけどね……」


俺が生理を理由に黒曜の騎士としての活動をやめようとしたら、エオルが活動を続けて欲しそうにお願いする。


「……仕方ない。もし何かあったら出動するよ。人命が最優先だしな!」


どうしても痛みや体調の変化は避けられないので、諦めて我慢するしかない。いやー、本当に女性ってスゴい事を再確認したわ!あ、俺はもう女性なんだった。よーし、俺も頑張って乗り越えるぞー!

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