黒曜の騎士アンチスレpart1
タイトルがどんどん雑になってきました
しばらく待っていたのだが、ドラゴンキングが討伐された時の報告会よりも多くの人が訪れている事に気付いた。異変が収束したのより、異変が発生した時の方が注目度は高いから当たり前ではあるが。
すると、シュンッと音と共に、壇上にトピエさんとエルヴェンヌ女王様が姿を現した。
「みなさん、ごきげんよう。エルヴェンヌです。先ほど放送にもございました。鬼と呼ばれるモンスターに関する事件に関して、まだ調査は始まったばかりですができる限りの事はお答えしますので質問があればどうぞお伝えください」
事件が発生したのが正午で、現在の時刻は午後三時。発見がいつだったのかはわからないが、それほど時間が空いていない。国のお偉いさん方も調査に大忙しだったようで、エルヴェンヌ女王様のお顔からは疲れの表情が漏れ出ていた。隠そうとはしているようだが、不安や疲れは感じられているみたいだ。
「はい、質問です。えぇと、先ほど放送で言ってましたが、黒い煙になって消えるって、本当に生き物なんですか?」
すると、メガネをかけた賢そうな青年が挙手して質問した。その意見はもっともだし、この場にいる大多数が同じ疑問を抱えているはずだ。
「スービエ村の方達に加えて、今朝、偶然鬼と対峙されたマーレス様もそれを目撃したので事実ではありますが、詳しい事はわかっていません」
信憑性を増す為にエルヴェンヌ女王様がマーレスの名前を出した。すると、
「マーレス様だって」
「マーレスも会ったのか……」
といった様子で、知名度のあるマーレスの名前を出したおかげでみんな信じてくれたらしい。アイツ、イケメンだし強いし明るいしで人気あるんだなぁ。その立場って、本当は異世界転移者である俺の立場な気がするんだけど……。
「はい、また黒曜の騎士様が異変を解決したんですよねー。あの人って何者なんですか?」
うっ、今度は俺に関する話題か。まぁ、マオウグンの引き起こす異変の場所に毎度毎度、都合良く姿を現していれば疑問に思う。ていうか、質問したのっていつぞやの少女冒険者二人組の片割れだし。
「それに関しては、昨日会話した私が話そう」
一度も俺とは会話をした事がなく返答できないエルヴェンヌ女王様の代わりに、少しの間だけだが会話した事のあるトピエさんが答えるらしい。いうて、報告したり恋愛相談したりしかしてないけれどな。
「えぇ!?どんな方なんですかー?」
「ま、まぁアレだな。普通の若い男性って感じだったな」
なんでトピエさんが少し照れているんだろう。アレかな、恋愛相談で自分の恥ずかしい話を言ってしまったのを思い出してるのかな?
「えー!ちなみにどんな話をしたんですか!?」
「たっ、ただのドラゴンキングに関する報告だけだ!それが終わったらワープして消えた!追う事もできたが、国に対して不信感を持ってもらいたくないのでしなかった!」
なるほど、ワープサーチを習得しているトピエさんがあの時追ってこなかったのはその為だったのか。ていうか、なんかトピエさんテンション高くね?
「トピエ……?」
エルヴェンヌ女王様はいつもの冷静さを失っているトピエさんの事を心配した目で見ていた。……ただ思い出して恥ずかしかってるだけだからそんな心配しなくていいですよ女王様。
「へー、ありがとうございましたー!」
「質問、ありがとうございました」
「はい、黒曜の騎士って前の異変と同時くらいに現れましたよね?そして、異変の場には必ずと言って良いほど現れる……何か繋がりがあるんじゃないでしょうか?」
続いて、中年の男性がそう質問をした。この言い方だと、エオルと同じで俺とマオウグンの繋がりを疑っているような感じだ。
「その点も私が答えよう」
お、さっきのプライベートモードと違って仕事モードになったトピエさんがまた答えるようだ。
「彼は、正体を頑なに明かしはしないものの、異変の元凶を排除したいと考えている。だから、少なくとも今は味方だと国は判断した」
そうトピエさんは俺を擁護する発言をしてくれたが、民衆達はなかなか納得してくれていないようだ。その人がきっかけとなり、周りの人も口々に本心を言っていく。
「正体を明かさないって、やっぱり怪しいと思います」
「それは俺も思ってた」
「だって、隠す必要なくね?」
ウソだろ、こんなに信用されていなかったの俺?まぁ、俺が彼らと同じ立場なら俺もそう思うだろうけど。
……あっ、今気付いたけど、マオウグンは倒すと黒い煙になるじゃん。そして、黒曜の騎士が着けている鎧は、黒曜石みたいな黒色をしている……。色が同じだし謎の存在だしで、関係性しか感じないじゃねーか!もし俺が何も知らない人なら、「異変の真犯人って黒曜の騎士じゃね?」ってネットに書き込んでたわ!この世界にネット無いけど!
「みなさま、静粛にお願いします」
そのエルヴェンヌ女王様の一言で群衆がすぐに落ち着いた。流石のカリスマ性であられる。
「彼は、何度もこのティエスカを救ってくださったお方です。憶測だけで否定するのはおやめください」
おお、そう言ってくれるって事は、エルヴェンヌ女王様というか国は俺に対しては感謝してくれているのか!さっきの事がショックで落ち込んでたけど、そう言ってくれると嬉しいし、なにより女王様にそう言われたのが嬉しすぎる!
「は、はい。ありがとうございました」
怒られたので否定する発言は控えるとは思うが、心の中で不審に思う気持ちは変わらないのだろう。俺だって、推理系の作品である登場人物を一度犯人だと疑ったら、その人の言動全てが怪しく思えるからな。心は庶民だし普通の人だから気持ちはすごくわかる。
はぁ、このまま民衆からの不信感が増していったら、いずれ正体を明かさなきゃならない日が来るんだろうなぁ。「完全に女性として生きていかなきゃならない」と思うと憂鬱だ。




