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第90話 報告と報告

「はぁ〜、疲れたし一休みしよっと……。すぅ」


 ベッドに仰向けになって倒れ込んでいると次第に意識が遠くなっていった……。


 パッパー!


「うひゃあ!?な、なにっ!?」


 聞き覚えのある大きなラッパの音で昼寝から目を覚ました。この音は、国からの放送の合図だったっけ。

 前は気付かずに寝過ごしてたが、今回は眠りが浅かったからか起きられた。


「放送か……。一体何の用だろう」


 今までの経験通りなら、国民にすぐ伝えるべき重要な出来事を報告するはずだ。恐らくは、マオウグンの異変に関する知らせだろう。


「あー、あー。国民の皆様、こんにちは。先ほど、正午ごろにスービエ村が未知のモンスターに襲われました」


 さっきの事件についての報告のようだ。……今は何時なのか気になって時計を見ると、すでに時刻は午後三時になっていた。


「良かった。割と早く調査団が派遣されたんだな」

「そのモンスターの特徴は、人型で赤い肌、頭部に二つの角を持っており、倒すと黒い煙になり消滅するなどの特徴があります。また、村以外の場所でも目撃情報があったため、国が調査団を派遣して詳しく調べるつもりです」


 実際に鬼が出て村を襲ったんだし、かなりの実力者が集まって大人数で森を調査するだろう。ドラゴンキングと違って鬼は空を飛べないだろうし、彼らが元凶を見つけるのも時間の問題だ。


「また、黒曜の騎士様がスービエ村を救われ、彼がそのモンスターを「オニ」と呼称していた為、我々もそのモンスターをオニと名付けました。また、広場にて質疑応答を行いますので何か質問がございましたらいらしてください、それでは」


 報告会があるって事は、またあの麗しきペルフェッタ女王様を拝見できるかもしれない。早速向かおう。


「今すぐに森に調査しに行っても調査団と鉢合わせそうだからやめとくか。あの日本人の事も気になるし」


 森の調査がひと段落するまで黒曜の騎士としての活動は控える事にした。多くの実力者が森に居るのなら、あの青年も動きやすくなるので、しばらくは街に居続ける。


 ――歩いて広場へとやってきた。以前と同じで警備が厳重なので、ペルフェッタお嬢様は御姿を現されるに違いない。


「あ、ムクロンさん!さっきの話、本当ですか!?」


 慌てて広場にやってきたエオルが俺の元にやってきた。

 そういや、鬼に出会った事はエオルには伝えて居なかった。他にもマオウグンが現れている事を知ったらショックを受けるだろうと思い隠していたが、ついに知られてしまった。


「残念だけど本当だ。言ってなかったけど、一緒に風呂に行った日の夕方にも森で鬼と会ったんだ。知ったら驚くと思って黙っていたけど……」


 エオルは驚いた様子を見せたが、しばらく悩んだ後に冷静さを取り戻して笑顔を見せた。


「お気遣いありがとうございます。僕の事を考えてくださったんですね」

「あぁ……落ち着いたか?」

「はい!シーツも買えましたししっかり休めました!」


 少しは回復したようで何よりだが、もう一つ、マオウグンの疑いがある日本人の青年が魔道具店を狙っている事も伝えなきゃいけない。マオウグンがトラウマになっているエオルに、これを伝えなきゃならないのは結構ツラい。


「それと、もう一つ言わなきゃ行けない事があるんだけど……心して聞いてくれるか?」

「はい」

「実は、さっき他の魔道具店で万引き事件が起きたんだが」

「怖……。それがどうしたんですか?」

「たまたま居合わせて追っかけたんだけど、路地裏で忽然(こつぜん)と姿を消したんだ。ワープを使ったワケじゃないし、マオウグンかもしれない」

「えっ……ウソ。よりによって魔道具店を狙ってるんですか!?」


 やはり不安にさせてしまったようで、恐怖して怯えている。

 また人間不信になってしまわないよう、フォローを入れなくては。


「大丈夫!私が居るんだもの、何とかなるわよ!」


 ウィンクもして、「大丈夫、俺が守る」とエオルにアピールする。


「だって、相手はただのコソ泥だし、戦闘力もないはず。捕まえるのなんてラクショーよ!」


 どんな能力を持っているかわからないのでそう上手くいくとは思えない。だが、俺が不安そうにしていたらエオルまで不安になってしまうので、空元気を見せる。


「そうですよね!ムクロンさんは最強ですから、なんとかしてくれますよね!」


 エオルは俺の一言を聞いて明るい笑顔を取り戻してくれた。

 いざ報告する時は緊張したが、俺の事を信用してくれているおかげで、人間不信は再発せずに済んだ。

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