報告と報告
「はぁ〜、なんか疲れたし一休みしよっと……すぅ」
再びベッドに仰向けになって倒れ込んでいると次第に意識が遠くなっていった……。
パッパー!
「うひゃあ!?な、なにっ!?」
聞き覚えのある大きなラッパの音で昼寝から目を覚ました。良かったー、ついに放送用のラッパの音で起きる事ができた!まぁ、昼寝だったから深い眠りじゃなかったからだろうけれど。
「放送か!?一体何の用だろう」
今までの経験通りなら、国民にすぐ伝えるべき重要な出来事を報告するはずだ。つまり、またマオウグンに関する異変についてだろう。
「あー、あー。国民の皆様、こんにちは。先ほど、正午ごろにスービエ村が未知のモンスターに襲われました」
おっ、さっきの事件についての報告か!にしては早くないか?今は一体何時だろう。……時計を見たけれど、すでに時刻は午後三時になっていた。そんなすぐでもなかったな。思ったよりも長く寝てしまっていたみたいだ。
「そのモンスターの特徴は、人型で赤い肌、頭部に二つの角を持っており、倒すと黒い煙になり消滅するなどの特徴があります。また、村以外の場所でも目撃情報があったため、国が調査団を派遣して詳しく調べるつもりです」
実際に鬼が出て村を襲ったんだ、かなりの実力者が集まり大人数で森を調査するだろうな。ドラゴンキングと違って鬼は空を飛べないだろうし、元凶も地上に居るだろうから見つけて倒すのは任せようかな。
「また、黒曜の騎士様がスービエ村を救われ、彼がそのモンスターを「鬼」と呼称していた為、我々もそのモンスターを鬼と名付けました。また、広場にて質疑応答を行いますので何か質問がございましたらいらしてください、それでは」
報告会があるって事は、またあの麗しきエルヴェンヌ女王様を拝見できるかもしれない!
「今森に調査しに行っても調査団と鉢合わせそうだからやめておこう。なにより、俺はあの青年の事も気になるしな」
国の持つ戦略が森に集中してるから、街中の警備が手薄になっているかもしれない。森の調査がひと段落するまで黒曜の騎士としての活動は控えよう。
「よーし、広場に向かうぞー!」
てなわけで、ウキウキ気分で広場へとやってきた。以前と同じで警備が厳重だから、またエルヴェンヌ女王様がお出ましになるはず!楽しみだなー、この世界にカメラがあれば撮りまくるのになー。
「あ、ムクロンさん!さっきの話、本当ですか!?」
慌てて広場にやってきたエオルが俺の元にやってきた。そういや、鬼に出会った事はエオルには伝えて居なかったな。他にもマオウグンが現れた事を知ったら、エオルの人間不信が悪化しちゃうかもしれない!
「残念だけど本当。言ってなかったけど、一緒に風呂に行った日の夕方にも森で鬼と会ったんだ。知ったら驚くと思って黙っていたけど……」
エオルは驚いた様子だったが、悩んだ後に冷静さを取り戻したようだ。
「お気遣いありがとうございます。僕の事を考えてくださったんですね」
「あぁ……落ち着いたか?」
「はい!シーツも買えましたししっかり休めました!」
少しは回復したようで何よりだが、もう一つ、マオウグンの疑いがある日本人の青年が魔道具店を狙っている事も伝えなきゃないんだよなぁ……。これを伝えなきゃならないのは結構ツラいな。
「それと、もう一つ言わなきゃ行けない事があるんだけど……心して聞いてくれるか?」
「あ、はい」
「実は、さっき他の魔道具店で万引き事件が起きたんだが」
「怖……はい」
「たまたま犯人の顔が見えたんだけど、東洋人だったしもしかしたらマオウグンじゃないかな……って思って」
「え……ウソ。よりによって魔道具店を狙ってるんですか!?」
やっぱり、不安にさせてしまったな。また人間不信になってしまわないよう、フォローを入れておこう。
「大丈夫!私が居るんだもの、何とかなるわよ!」
ウィンクもして明るく大丈夫である事をエオルにアピールする!
「だって、相手はただのコソ泥だ。戦闘力もないはずだ。捕まえるのなんてラクショーよ!」
エオルは俺の一言を聞いて明るい笑顔を取り戻してくれた。
「そうですよね!ムクロンさんは最強ですから、なんとかしてくれますよね!」
報告する時は緊張したが、俺の事を信用してくれているようなので人間不信にはならなかったようだ。はぁー、エオルが傷付くのはかなり俺のメンタルにもダメージがくるからな。明るいままで本当に良かった。
間に合いませんでした♡




