あとは村人に任せよう
「"無重力""飛行"!クソッ、間に合ってくれよ!」
リーダー格を倒したのに鬼達が消えなかったという事は、先程の黒子が異変を引き起こしていた元凶では無かったという事になる。が、そんな事よりも、今はスービエ村に向かう一十体の鬼達に落ち着いて倒す方が先だ!
「マズイ、もう家の近くまで迫っている!」
高速で飛んで村まで戻ってきたが、鬼達はもうすぐ村人達の居る場所まで到達しそうだった。だが、「今すぐ攻撃すれば間に合う」。そう思い、俺は剣を構えて魔法を放つ!
「"雷の牙"、"雷の牙"、"雷の牙"!」
バチバチバチィッ!
まとまって行動していたおかげで、大技を続け様に三発撃っただけで全ての鬼を撃破し、バラバラにする事ができた。だが、コイツらはバラバラになったくらいじゃ、消滅するまで攻撃し続けるからまだ油断ならない。すぐに黒い煙に変わり始めたが、近付いては危険なので周りに村人が居ないかを確認する。
「あっ、あそこにまだ!」
すると、一体の鬼が村人達を鋭い爪を用いて襲い、ムキムキの村人や最初に出会った村人も深い傷を負っているのが見えた。しかし、精一杯抵抗したようで、鬼の方も既にボロボロになっている。
「最初のヤツか。くらえっ!」
付近に居る村人に当たっては危険だと判断して、大技や魔法を使うのは控えて剣で攻撃しようとする。飛んだ状態では踏み込んで力一杯剣を振れない気がするので、鬼との距離が近いのもあって地面に一度着地してから剣を構えて鬼へと斬りかかる!
ズバッ!
攻撃は見事に鬼の首筋に直撃し、ごろんと鬼の首が地面に落ちた。すぐに首元から黒い煙が出始めたが、この状態でも襲ってくるので危険だ。
「バリア!」
暴れて攻撃を喰らうのは嫌なので、やむなく魔力の消費がかなり大きいバリアを鬼の頭と体がある場所に張り、その二つを覆った。
「大丈夫か?今治すからな!」
深い傷を負っていた村人達をその場で回復させ完治させた。ふぅ、誰も死ななくて良かったー!回復やバリアを使ったせいで魔力がほとんど残ってないや。
「そうだ、もう一体の鬼はどこに!?」
最初に現れた五体の鬼のうち、村人達にお願いしたのは二体だったはずだ。しかし、今この場に居るのは一体だけ。もう一体はどこに行ったんだ……?
「もう一体は俺達が倒したよ。ヒールありがとな、おかげで助かった!」
そうか、俺みたいにめっちゃ強い人じゃなくても、頑張れば鬼を倒せるんだな。良かった、アイツらマオウグンって死んだら完全に消滅するから、逃げたのか死んだのかわかりにくいな。
「なんだったんだ、今の化け物は……?」
ムキムキの男は服が破れてセクシーな筋肉が露わになっている。「すごい肉体美……!」と、ちょっとドキッとしてしまった。ヤバいな、だんだんと精神が肉体に引っ張られている気がする。コホン。気を取り直して、彼らに鬼についての説明をしよう。
「今のは、鬼と呼ばれる怪物だ」
「オニ……?」
「とても凶暴で、死んでも消滅するまでは攻撃し続けるから要注意だ」
「消滅って、おかしくねぇか?死んだら黒い煙になる生き物とか知らねぇぞ?」
この世界でマオウグンについて知っている人が少ないから、誰でもこの不可解な現象について戸惑うだろう。俺だって初見じゃビックリしたし。しかも、人間だったエイダが服ごと煙になって消滅したから尚更驚いた。
「ヤツらはそういう、特殊な存在なんだ。マオウグンっていう、えーっと……悪い集団だ」
くっ、なんで説明すれば良いのかわからねぇ。「異世界から来た木や鬼が所属する集団」って言っても初見の人には絶対に伝わらないと思って、要約したら悪の軍団以外の単語が出てこなかった。
「なるほどなー。でも、お前はなんでそんなに詳しいんだ?」
「俺はソイツらを倒す事が使命だからさ」
マーレスのヤツがトピエさんに報告したから、いずれはマオウグンの噂も広がっていくとは思うんだが……。あっ、そういや、ここにもあとで国の調査団が来るって言ってたっけ。しかも、調査団メンバーって全員ワープできるし、なんならワープサーチ持っている人とかもいそうだから、見つかったら面倒な事になるじゃん!ヤバい、ここから早く逃げないと……!
「ここにもうすぐ国から調査団が派遣されると思うから、今この村で起きた事を君たちが伝えてくれ」
「あぁ……了解した」
「おう、わかった。だが、お前からは伝えないのか?」
ぐっ、痛いところをついてくるなこの村人。会話が苦手で直接本人に伝えられないほど臆病なヤツだと勘違いしているかもしれないが、俺には山よりも高く谷よりも深く、エオル以外の誰にも決して言えない理由があるんだよなぁ。
「俺は信用されていないっぽくてね。それじゃ、あとは任せたぞ!」
調査団がいつ来るのかはわからないが、聞き込みを兼ねてまずはこのスービエ村を訪れるはずだ。ここを素通りして調査を始める事が無いと信じたい。さて、かなり疲れたから部屋にワープしよう。
シュンッ
「あーっ!疲れたーーー!!」
帰ってくるなり、すぐに鎧を脱いでポーチにしまいベッドに倒れ込んだ。魔力をかなり使ったし、また色々と驚きの情報が出たからヘトヘトだ。しかし、なんとか体を起こして魔力回復薬を飲み、復活した。
以前はメモアプリで書いてからコピペしていたのですが、前話からは直接なろう様に書く事にしました。これにより、「……」や「!?」、「ー」が少なくなった他、文字数が増えて地の文も改まった言い方になるなど、読み易くなったと思います。




