エオル救出作戦
おそらく、アイツは一度高く飛んで木々の上を通ってアジトまで行ったはずだ。俺も一度飛び上がって上から見下ろしてみよう。
「"飛行"!」
ガサガサッ
上に飛んで見てみたが、空には既にアイツの姿は無かった。
「居ない……なら、この森のどこかに潜んでいるな」
しかし、上から見ても木が多くてよく見えないな。しかも、上からこの広さの森を全部見たらあまりに時間がかかる。
「アイツ賢いし、そもそも人目に付かない洞窟とかに隠れてる可能性もある……一度降りて案を考えないとマズイな」
スタッ
しかし、この状況を打破出来るアイテムや魔法があったか?エオルの場所に行こうにも、他の味方プレイヤーの位置へワープするのはメニューやマップからだったし、アイテムや魔法ではどうしようもない。
「……これ、かなりヤバい状況だな」
俺がなんとかアイツを見つけ出すか、もしくはもう一度アイツが戻ってこれば後を追跡してアジトに行けるのに……あっ。
「アイツ、オークだから女性を襲ったんだよな。だったら、俺が鎧を抜けばまた襲いにくるんじゃないか?……いや、そうじゃないと困る!」
この案に賭けるしか無い俺は、すぐに鎧を全て脱いで私服になった。
「鎧もしまったし、念の為にここから離れた場所に移動してから、さっきの黒曜の騎士とは別人のフリをしよう」
流石に同じ場所に居ては同一人物だと疑われるかもしれないしな。…………移動してから少し待ったが、未だにアイツは飛んでこない。
「早く来い……!あれか?色気がもっとあった方が良いのか?脱ぐか?」
いや、落ち着け俺!もし下着姿で森の中に居るのを他の誰かに見られたらどうする!
エオルを助けに行くより先に露出狂として逮捕されてしまう!ここはやめておいて別のアイデアを……。
「よし、戦えない女性の振りをしよう!」
ここは……そうだな。自分が戦闘能力のない、スプラッター映画の登場人物だったらと想像してみよう。
常にオドオドしながら、首をキョロキョロ動かして周りをひどく警戒しているフリをする。気分はまるで、映画の中盤であっけなく死ぬギャルだ。
「はぁ、はぁ……!この森を抜けて、私は絶対に生き残ってやる!どうやら、エオルはアイツにやられちゃったようね。ハハッ、いいザマだわ!」
死亡フラグもしっかり建てておく。どうだ、そろそろやってくるか……?
バサッ
来た!
ガシッ!
「よしっ、じゃなかった。キャーーーー!!」
やっと掴まれた!このままか弱い女性のフリをし続けていれば、エオルのところまで運んでもらえるぜ!
掴まれて運ばれると、ある一つの人目につきにくい洞窟に入っていく。そこを抜けると、オーク達が住んでいる村に繋がった!
「ここがオーク達の住処か……あっ、エオル居た!」
オーク達が集まっている中心に、サスペンダー付きのズボンを脱いだ状態のエオルが立っていた。
「多分、まだ無事だな。よし、今行くぞ!」
俺はスピードイーグルの体に向けて手を伸ばし、魔法を打ち込む!
「"地獄の業火"!」
放たれた業火がスピードイーグルを包み込み、見事に大きな鳥の丸焼きになった!
「ん?あっ、上のオークが逃げた!」
残念ながらスピードイーグルの上に乗っていたオークには間一髪で避けられ、着地後にエオルの喉にナイフを突きつけて人質にした。
「ムクロンさーん!」
「くそっ、悪知恵の働くオークだ」
すると、そのオークが周りの他のオーク達に何か指示を出した。すると、他のオークが一斉に俺の方に向かってきた!
「アイツ、オーク達のリーダーだったのか……!」
つまり、「オークキング」という上位のモンスターだった訳だが、俺の知っているやつよりも飛び抜けて頭が良いことに変わりない。エオルのためにも気を引き締めて戦わないとな!




