表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/113

第8話 オークの出る森にて

 ポーチから黒曜の鎧の一部を取り出し、脚元から順番に装着していく。


「手作業で装着するのダルいな……」


 ゲームなら一瞬で着替えられたのだが、今は手作業で着るので時間がかかる。

 その間にエオルを待たせるのも悪いので話しかける事にした。


「このあたりに出る主なモンスターはオークで合ってる?」

「はい、そうですよ」


 オークはゲームだと強くない序盤の雑魚モンスターなのだが、この世界だとある一つの大きな懸念点が出てくる。


 それは、「女性にエロい事をするんじゃないか?」という疑問だ。

 今の俺は顔こそ隠れてはいるが、剣を使っているから一応は女騎士だし、捕まったらエロ同人みたいに「くっころ」展開になるかもしれない。


「ここのオークって、女性を襲うのか?」

「モンスターなので当然襲ってきますよ」

「ごめん、襲うっていうのは性的な意味で……」

「なっ、何を聞くんですか!」


 エオルが顔を赤くして怒る。その反応はちゃんと年頃の女の子だった。


「あ、今の完全にセクハラじゃん。ごめんエオル」

「まったく……、女性を襲うオークもたまに居ますよ。遺伝子的に離れているので妊娠はしませんけど」

「なーんだ、よかったー。いや、よくない!襲われる事自体が嫌だ!」


 俺は急いで黒曜の鎧で全身を覆った。


「ったく、なんでオークは女性を襲うんだ?」

「溜まってるんでしょう。ていうか、人間でもモンスターをナニに使う人も居ますし……」


 エオルはそう恥ずかしそうに口をモゴモゴさせながら言った。


「へ〜、どれを使うんだろう。触手とか人の見た目に近いモンスターかな?」


 確かにゲームにも「この敵エッチ過ぎない!?」と思うデザインのモンスターは何体かいた。


 なにせ始めた時は高校二年生だったので、エロには敏感に反応した物だ。

 そもそも俺がこのゲームを始めたキッカケは、ある巨乳の女性キャラのデザインに一目惚れしたからだった。


 あの人も、この世界に居るのかな。


 ぼーっとして推しの事を思い出していると、巨大な鳥が近くを横切った。


「スゴい大きなスピードイーグルだなー。って、エオルが居ない!?」


 飛んで行ったスピードイーグルの方を見ると、エオルが巨大な脚に、文字通り鷲掴みにされていた。

 しかも、鷲の上にオークが乗っている。


「アイツが鷲に指示を出してエオルを狙ったのか?」


 次の瞬間、オークがパチンコを打って玉を飛ばしてきた。俺の体には直接当たらずに手前の地面に落ちたが、その瞬間に爆発して赤い煙が吹き出してきた。


「コホッコホッ、けむたっ!」


 俺の身体全体が煙に包まれたので煙幕かと思ったが、辛い臭いがついているので違うらしい。


「スゲー辛そうな臭いがする。これ、トウガラシの粉か?爆薬じゃなくて助かったけど、もし素顔で浴びてたら最悪だな」


 兜がガスマスクのように空気を浄化したおかげで綺麗な顔が涙で台無しにならずに済んだ。

 あのオークがこの近くに生えている香辛料をすりおろして武器にしたのだろうか。

 パチンコを使えてスピードイーグルも乗りこなすなど、普通のオークと比べてかなり賢い。


「とりあえず、俺も飛んで追いかけないと!"飛行(フラウェ)"!」


 飛びはしたものの、ここは木が多いので注意して避ける必要があって大変だ。見失わないように必死に後を追っていく。


 「魔法を撃って墜落させるのは……!いや、ダメだ。撃ったら外してエオルに当たるかもしれないし、落ちたときにスピードイーグルの重みで潰されてしまうかもしれない」


 あの二体を倒すより先に、魔法を当てずにエオルを助け出さないといけない。


 木々を慎重に避けながら飛んでいたが、次第に慣れてきたので速度を上げ、ようやくエオルの近くまでやってきた。


「ムクロンさーん!」

「よし、あと少しで手が届く!」


 エオルの伸ばしている手を掴むために右手を伸ばす。もう少しで手を握れるので、掴んだらスピードイーグルの足を魔法で切り落とせば救助できる。


 すると、バサッ、とスピードイーグルがいきなり急上昇した。そして、俺の視界には目いっぱいの大木が広がった。


「あっ!」


 回避が間に合わず、速度を保ったまま木に身体を激しく打ちつけ、地面に落下する。


「いてて……、伸ばしてた右腕を打ったな。回復しよう」


 主に右腕を痛めたが、すぐにヒールを自分に使って治す。自分にヒールを使う場合は触れる必要は無いらしい。

 

 かなり痛かったが、ヒールを使えばすぐに治せるので大怪我しても安心だ。まぁ、回復魔法は使う魔力が多いから何度も大怪我してたら死んでしまうのだが。


「それにしても、あのオークにまんまと騙されたな……。ちくしょー」


 オーク相手に知恵比べで負けるなんて屈辱だ。ひとまず、起き上がってから別の案を考えよう。


「ん?なんだこの輪っかは」


 立ち上がった後に足元を見ると、頑丈なツタで作られた輪があった。気になったので上を見ると、引っかかった生き物を吊り上げる装置が見えた。

 まるで、昔の人が小動物を捕えるのに手作りした罠だ。


「まさかこの森、こんなトラップがたくさんあんのか?」


 スピードイーグルは見失ってしまったし、この周辺はトラップだらけで迂闊(うかつ)に歩けない。

 一体どうやってエオルを助け出せばいいのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ