三度目の鬼
「さてと、一度家に帰ろう」
今更だが、トピエさんが率いる警備団が調べるであろう場所に留まるのは迷惑になるかもしれない。という訳で俺は現場を後にして魔道具店プレイヤーへと帰る。
「あ、お店無事かな?」
泥棒が来た店も魔道具店だったよな?俺の留守中に侵入して商品が盗まれていないか心配になってきた。急いでプレイヤーに戻らなくては!
「……良かった、店は無事だな」
家に帰ってきたが、店は普段と変わらない様子で荒らされた形跡は無かった。
「泥棒の事も気がかりだけど、もうどっか見つかりにくい所に隠れただろうし、そもそも黒曜の騎士として街の中を探す事が不可能だ。俺が街を飛んでたら不審者として通報されトピエさんに追われるのがオチだろう」
アメコミや特撮みたいに、素顔を隠したヒーローが市民から温かく迎えられるなら良いんだけど、現実はうまくいかないな。そもそもこの世界って、剣と魔法の世界だから、マーレスやトピエさんみたいな強い人たくさんいるし。
「それじゃ、森に行くか。鬼の事が気になる。ヤツらが、あの二体で終わりだとは思えないんだよな」
二度ある事は三度あるともいうし、森にもっと潜んでいる可能性がある。話を聞く為にも、今度という今度こそマオウグンを殺さずに捕えなくてはな。既に昼飯を食べ終えているし、話し相手が誰も居なくなってしまって暇だから鬼を調査するべくスービエ村周辺の森に向かう事にしよう。
「森はかなり広いけど、警備団の連中より先に見つけられるかなー?」
黒曜の鎧を着ながら、俺は鬼以外にも、人間の敵の存在を危惧していた。
トピエさん曰く、あとで森に鬼を調べる為の調査団が派遣されるとの事。彼らが何時に森を訪れるかは不明だが、トピエ団長の指示を受けているだろうから、見つかると戦いになる事は間違いないので会うのは避けたい。
「ま、今から出て早めに探そっと!」
俺は黒曜の兜を装着し、ムクロンから黒曜の騎士へと変身した。それと、闇雲に探してもしょうがないので、まずは他に目撃者がいないか、先に誰かに聞きたいところ……そうだ、スービエ村に行く事にしよう。
「よし、ワープ!」
シュンッ
「ふぅー、ワープしてここに来るのは初めてだなー」
今までは馬車でしか来た事がなかったが、やっぱりワープすると着くのがとてつもなく速い。改めてワープが便利すぎる事を痛感した。でも、エオルと話しながら馬車に揺られて移動するのも、それはそれでオツなものだ。
無事スービエ村に到着したので、村人に鬼について聞き込みをするとしよう。
「あの〜、すみま……あ、昼時だからか誰もいない」
元から人がそんなに住んでいない村なのだが、昼食を家で食べているのか人が全くいない。大声を出して家族団欒の場である食事を邪魔したくないし、誰か出てくるまで静かにして待っているかぁ。
「うわああああ!ば、化け物おおおおおお!」
その時、遠くで村人の大声が聞こえてきた。え、もしかして「化け物」って俺の事言ってる?
「おい、失礼じゃないか!人の事をいきなり化け物呼ばわりなんて!」
黒曜の騎士見るの初めてだとしても、化け物扱いはひどいだろ!一体、どこから聞こえてきた?そっちに行って、見つけたら文句を言ってやる!
「ひぃ〜〜〜〜!」
おっ、この建物の裏から声が聞こえてきたな。よし、俺もそっちの様子を確認しにいこう。
「俺は化け物じゃないからな!……えっ!?」
男の様子を見るはずが、まず男の後ろにいる物に目が釘付けになった。それはなんと、赤い肌でツノが生えた人形の……。
「お、鬼!?」
ウソだろ、鬼がスービエ村の中で、剣を持って男性を追いかけている!化け物って、この鬼の事を言っていたのか!




