第84話 三体目の鬼
「さてと、一度家に帰ろう」
トピエさんが率いる警備団が後で、今いる路地裏を詳しく調べるはずだ。迷惑になっては悪いので、現場を後にして魔道具店プレイヤーへと帰る。
「あ、お店無事かな?」
泥棒が来た店は魔道具店だったので、俺の留守中に侵入して商品が盗まれていないか心配になってきた。
「……良かった、店は無事だな」
急いで家に帰ってきたが店は普段と変わらない様子で荒らされた形跡は無かった。高価な商品も無事に残っていた。
「泥棒の事も気がかりだけど、もうどこか見つかりにくい所に隠れただろう。探したいけど、黒曜の騎士として街の中を歩いていたらトピエさんに見つかって捕まってしまうかもしれないんだよな」
街の中だと他の警備団も加勢に来るだろうし、囲まれてボコボコにされてしまうかも。
痛いのは嫌だし、街中は出歩かないようにしよう。
「それじゃ、森に行くか。鬼の事が気になる。ヤツらが、あの二体で終わりだとは思えないんだよな」
二度ある事は三度あるともいうし、森にもっと潜んでいる可能性がある。今度は話の通じるマオウグンとも出会えるかもしれない。
話し相手が誰も居なくなってしまって暇だし、黒曜の鎧を装着してから、調査する為にスービエ村周辺の森に向かう事にする。
「森はかなり広いけど、警備団の連中より先に見つけられるかなー?」
トピエさん曰く、あとで森に鬼を調べる為の調査団が派遣されるが、彼らが何時に森を訪れるかは不明だ。
トピエ団長から黒曜の騎士を警戒するように指示を受けているだろうし、見つかると面倒なので鉢合わせないようにしなければ。
「警備団が来る前に探して帰ろうっと」
鎧を着終わり、ムクロンから黒曜の騎士へと変身したので早速出発する。
「そうだ。闇雲に探すのもアレだから、またフォイユさんから情報を聞こうかな。よし、ワープ!」
先にスービエ村を訪れて、村人達から聞き込みをすれば探すのが楽になるだろう。
俺は村をイメージして、そこにワープした。
「ふぅー、ワープしてここに来るのは初めてだなー」
今までは馬車でしか来た事がなかったが、やっぱりワープすると到着するのが圧倒的に速い。でも、エオルと話しながら馬車に揺られながら移動するのも、アレはアレで楽しいものだ。
無事スービエ村に到着したので、村人に鬼について聞き込みをする。
「あの〜、すみませーん。あれ、昼時だからか誰もいない」
元から人がそんなに住んでいない村なのだが、昼食を家で食べているのか人を見かけない。大声を出して家族団欒の場である食事を邪魔したくないし、誰か出てくるまではこの付近を探索しようかな。
「うわああああ!ば、化け物おおおおおお!」
その時、遠くで村人の大声が聞こえてきた。もしかして俺を見て「化け物」と勘違いしたのだろうか?
「おい、失礼じゃないか!人の事をいきなり化け物呼ばわりなんて!」
黒曜の騎士見るの初めてだとしても、化け物扱いはあんまりだ。その男のところに言って文句を言ってやろう。
「ひぃ〜〜〜〜!」
この建物の裏から悲鳴が聞こえてきたな。そっちの様子を確認しにいこう。
「俺は化け物じゃないからな!……えっ!?」
男の様子を見るはずが、まず男の後ろにいる物に目が釘付けになった。それは、赤い肌でツノが生えた、昨日も見た存在だった。
「お、鬼!?」
ウソだろ。鬼がスービエ村の中で、剣を持って男性を追いかけている。
化け物って、鬼の事を言っていたのか。
早速、お目当ての鬼と出会えたが、こんな人里にまで現れるなんて思ってなかった。




