六体の鬼
捕まえたいところだが、それだと村人の命が危ないので、ここは鬼を殺すしかない!
「"水の斬撃"!」
真っ直ぐ伸ばした右腕から超高圧の水を発射し、鬼の体を上下真っ二つに切断した。鬼は剣を衝撃で落とし地面に倒れ伏す。
「グギャアアア!」
しかし、鬼は地面に這いつくばったあとも、上半身、下半身とも動き続け、「てけてけ」のように腕を使って動き、長い爪で村人に襲いかかろうとする。
「げっ、まだ生きてるのか!」
前に出会った鬼も腕が切断されたのになおも俺を襲おうとしていた。コイツも、自分が黒い煙になって消滅するまでは人に対して攻撃を続けるのだろう。ならば、確実に倒し切る!
「"放電"!」
バチッ
「グギャアアア!!」
強い電撃に襲われた鬼は、今度こそ身体が黒い煙になり消滅し始めた。だが、完全に消えるまで、ずっと人に向かって動き続けていた。相変わらず、あまりに殺意が高くてゾッとする。
「あ、ありがとう!」
助かった村人は俺にお礼をしてくれたが、よく見るとその男は斧を持っていた。きっと森の中で何か作業をしていた時に襲われたのだろう。
「この鬼……えっと化け物はどこから来たんだ?」
鬼という概念がこの世界にはないので伝わらないと思い、先ほど男が用いていた化け物という言葉に言い直した。
「森で薬草を取っていたら襲われたんだ。戦ったけど俺じゃ歯が立たず、必死に逃げてきた」
「それはどの辺りだ?」
「あっちだよ。ほら、あっちの方角」
男がある方向を指差したので俺もそこを見る。この方角に進めば鬼達の拠点があるかもしれない。
「なるほど……ん?」
その時、森の方に人影が見えた。そして、このシルエットには非常に既視感がある。頭に尖った二つの物があり、手には武器を持っている……ま、まさかアレは……!
「鬼だ!」
ゆっくりと歩きながら鬼が木陰から現れた。しかし、村には入って来ずに、村の前でいきなりピタリと立ち止まった。
「止まった……?」
鬼に対して、死ぬまで動いて人を襲うというイメージを持っていたのだが、今回の鬼の行動はそのイメージとは大きく違っている。……何かが妙だ。
ガサガサ
その時、周りのあちこちからも同時に音が鳴ったので辺りを見渡す。すると、別の方向からも鬼達が同時に現れた!
そして、同じように等間隔で村の周りで立ち止まった。その数、実に五体。それと、手に持っている武器は剣や金棒、槍に斧、鎌などそれぞれ違っていた。
「ウソだろ?こんなにたくさん?」
「う、うわあああ!?みんなに知らせなきゃ!おーい、みんな!非常事態だー!」
怯えた村人は家が集まる住宅地に行き大声を上げ、家で食事をしていると思われる他の村人達に危機を知らせた。
「こんなに居たのか……。そして、なぜコイツらはピタリと静止しているんだ?」
鬼達は今まで通り本能に任せて人を襲うのではなく、まるで規則に従うかのように、等間隔で並んで止まり続けている。まるで、何かを待っているかのように。
ピーーーッ!
「「「「「グギャアアアア!!」」」」」
その時、どこからか笛の音が鳴り響いた!そして、それを合図に鬼達が一斉に村に向けて走り始める!
「今の音は一体……?」
笛の音の事も気になるが、ひとまず鬼からスービエ村のみんなを守らなくては!
「どうしたんだ!?な、なんだアイツらは!?」
すると、先ほどの村人の声を聞きつけて、家の中から筋肉ムキムキで見るからに頼り甲斐がある村人達が出てきた。服の上からでもわかる惚れ惚れする肉体美……これは、どう見ても強い。俺だって別々の方向にいる鬼達と同時に戦うのはキツい、ここは彼らにも協力してもらおう!
「君達!俺は先にこっち側の三体の化け物と戦うから、そっち側の二体は任せたぞ!」
「お、おう!わかったぜ!」
先ほど、あの村人は歯が立たなかったといって居たので倒せるかはわからないが、四肢を上手く狙って破壊してくれれば、多少は動きが遅くなったり戦闘力が低下するはずだ!
ムキムキの村人は、映画「コマンドー」(1985)冒頭の丸太持ってるシュワちゃんをイメージしてください。




