オークの出る森にて
ポーチから黒曜の鎧を取り出して、脚から順番に装着していく。その間に待たせるのも悪いのでエオルに話しかける。
「このあたりに出る主なモンスターはオークで合ってる?」
「はい、そうですよ」
オークはゲームだと強くないけれど、こっちのリアルな世界だと、ある一つの大きな懸念点が出てくる。
それは、「女性にエロい事をするんじゃないか?」という物だ。思えば今の俺は顔が隠れてるけど女騎士だし、「くっころ」されちゃうかもしれない!
「ここのオークって、女性を襲う?」
「モンスターなので当然襲ってきます。何を今更」
「ごめん、襲うっていうのは性的な意味で……」
「なっ、何を聞くんですか!」
エオルが顔を赤くして怒る。そこはちゃんと年頃の女の子なんだな。……あ、普通にセクハラじゃん今の。
「女性を襲うオークもたまに居ますよ。遺伝子的に離れているので妊娠はしませんけど」
「なーんだ、よかったー。いや、よくない!襲われる事自体が嫌だ!」
エオルからそれを聞いた俺は急いで鎧で全身を覆った。
「ったく、なんでオークは女性を襲うんだ?」
「溜まってるんでしょう。ていうか、人間でもモンスターをナニに使う人も居ますし……」
どれを使うんだろう。触手とか人の見た目に近いモンスターとかかな?確かに、ゲームにも「え、このモンスターエッチ過ぎない!?」ってのは居たけど……アイツは初めて見た時ビビったなぁ。
バサッ!
猥談してたらいきなり巨大な鳥が近くを横切った!
「スゴい大きなスピードイーグルだな……!って、エオル!?」
飛んで行ったスピードイーグルの方を見ると、エオルが巨大な鷲の脚に、文字通り鷲掴みにされているのが見えた!しかも、鷲の上にオークが乗っている!
ビュンッ
なんだ?オークがパチンコを打って何か玉をこっちに飛ばしてきたぞ?でも、当たらずに俺の前に落ちるな。
ポンッ、モワ〜
「コホッコホッ、けむたっ!」
着弾した玉が破裂したかと思ったら、中から赤色の粉が吹き出してきた!
「スゲー辛そうな臭い……これ、トウガラシの粉?爆薬じゃなくて助かったけど、もし素顔で浴びてたらと思うと怖いな!」
もしかして、あのオークがこの近くに映えている香辛料をすりおろして武器にしたのか?しかも、パチンコも使っていたし、スピードイーグルも乗りこなしていた……あのオーク、かなり賢いな!
「くっ、とりあえず俺も飛んで追いかけるか!"飛行"!」
飛べはしたけど、ここは木が多くて上手く追跡出来ない!
なんとか、見失わないように追わないと、このままじゃエオルが危ない!
魔法を撃ったらエオルに当たるかもしれないし、先にアイツからエオルを助け出さないと!
速度を上げて必死に追っていき、ようやくエオルの近くまでやってこれた!
「ムクロンさーん!」
「よし、あと少しで手が届く!」
バサッ
「え?」
アイツ、いきなり急上昇しただと?あ、目の前に大木が。
ゴンッ……ドサッ
「いてて……伸ばしてたから右腕打った。回復しよう」
――よし、これで痛くなくなった。
「それにしても、あのオークにまんまと騙されたな……ちくしょー」
たかがオークなんかに知恵比べで負けたのがめっちゃ悔しい。ひとまず起き上がってから別の案を考えよう……。
「ん?なんだこの輪っかは」
立ち上がった後に足元を見ると、頑丈なツタで作られた輪があった。そして、その上を見ると、引っかかった物を吊り上げる装置が見えた。まるで、小動物を捉える罠のような。
「ヒエッ……まさかこの森、こんなトラップがたくさんあんのか?」
スピードイーグルは見失ってしまったし、この周辺はトラップだらけ……これで一体どうやってエオルを助けにいけばいいんだ?




